いまSNSをはじめ、数多くのフォロワーを獲得している「青森の絶景カメラマン」こと「対馬慎太郎」さん。
今年から弘前市岩木地区(旧・岩木町)の「地域おこし協力隊」に就任し、自身初となる「個展」も開催さるという、大活躍の彼。
対馬さんが撮影した写真は、どうして多くの人々の心に「絶景」として響くのでしょうか?
山はもちろん、よく「海」にも撮影しに行くという彼に、今回は「絶景に対する思い」をお伺いしました。
Q.そもそも「青森の絶景」を撮ろうと思ったきっかけ、写真に目覚めたきっかけを、お聞かせください。
対馬さん:写真を始める前は、趣味といえば昔から部活でやっていたサッカー。冬はスノーボード、さらにお祭りのお囃子(ねぷたやねぶた、お山参詣のお囃子)などが好きでした。
写真をはじめたきっかけとしては、Instagramで知り合った「Kさん」という方の写真です。今では仲良しの彼の写真展を見に行って感動し、”風景写真”と”カメラ”に興味津々となりました。
Q.そして、ご自身のカメラを買われたのですか?
対馬さん:最初に買ったカメラは「Nikon D3300」というエントリー機でした。でも写真を追求していくうちに「フルサイズ(プロ向け)機種」が欲しくなり、気づけば○十万のカメラが手元にありました(笑)そこからレンズなどの機材も全部プロ向けのものに変わっていき、気がつけば写真家として活動していましたね。
Q.撮影するにあたって、スポットなどはどのように探していたのでしょうか?
対馬さん:写真を始めた当初は”みんなが撮っている写真や構図”が好きで、いわゆる「インスタ映えする場所」などへよく出没してました。でも、自分が撮る風景写真を客観的に見ていると「”個性”ってなんだろう?」と思うことが増えて、定番スポットを撮影することは、今ではほとんど無くなりました。
Q.ご自身だけの「絶景スポット」を開拓した、ということですね。
対馬さん:もともと青森県が大好きで、青森の景色をもっと開拓したいと考え、色々なところに実際に足を運びました。そこで見た景色は、これまで自分が見たことも、Instagramでも見たこともない、紛れもない”未知の絶景”でした。その「自分で発見できた」という感覚が、非常に楽しくて。
Q.1日でどれくらいの時間を撮影されているのですか?
対馬さん:撮れ高がいい日は夕方~深夜~朝方までぶっ通しで撮影します。太陽が一番高い時に睡眠を摂り、またその繰り返し。自分が撮影する風景は常に太陽と星に振り回されています(笑)
Q.今回お借りした作品について。どの作品もまさに青森の「絶景」と思える写真ばかりですが、対馬さんご自身がこれらの作品を「絶景」と思える理由、があれば教えてください。
▲対馬さん:ここは太平洋に面した八戸市の「中須賀海岸」です。この日は「海岸に咲くニッコウキスゲ」を下見しに行ったのですが、全然咲いてなくて・・・。でも朝焼けの条件が良くて、真っ赤な雲とその色が反射した海の景色がたまらなく美しかったです。求めている景色じゃなくても”偶発性”が伴う景色を自分は絶景だと思っています。
▲対馬さん:ここは日本海に面した深浦町の「行合崎海岸」です。先にも触れた”ニッコウキスゲ”と半円状の海岸の姿をフレーミングさせ、この海岸とともに生きているというメッセージを感じてもらえるように表現しました。どの植物もその場所の土や空気、気温などが相まって美しい姿になっているのだから、その”場所”も美しいということに気づいて欲しいという思いが常にあります。
▲対馬さん:これは青森市、浅虫温泉地区から撮影しました。陸奥湾を超えて見る岩木山は近くで見るより迫力が感じられ、葛飾北斎の富嶽三十六景に出てきそうなイメージを自分で表現しました。時代を超えて人が生活している街と何千年と変わらない歴史的な山を合わせて撮影できていることにロマンを感じることもあります。
Q.本当に青森の様々なスポットで撮影されていることが印象的でした。撮影する際に海をはじめとする「自然」と「人間」との関係性など、意識していることがあれば教えてください。
対馬さん:主軸として青森県内の絶景を追いかけていますが、天気がいい日でも悪い日でも、必ずどこかに「絶景」と思える場所やシーンがあると思っています。その絶景となり得る場所を徹底的に調べ上げ、適切な天候や日時、方角を考えて撮影に臨みます。
Q.では「海」を撮影するのは、どのような時が多いのでしょうか?
対馬さん:「海だけを撮影したい」と思うのは、実は季節感を出したくない作品を撮る時が多いです。海のみで言うとはそこまで季節性を感じないもので、青空と海を撮影するのであれば「夏」を想起しますが、それ以外で岩などを撮影しても特にどの季節と言える写真は撮りづらいです。
Q.そのような内容を踏まえて、絶景を撮影されているのですね。
対馬さん:自分の中で最高と思える作品は常に「3つ以上の要素」が含まれています。例えば「海と岩と花」「山と街と海」といったように要素が少なすぎず、でも多すぎないものを好みます。そこに人間の生活などとの関わりを感じられ、共存してきたストーリー性を持たせているのも、自分の作品のあり方だったりもします。
Q.今年から就任された「岩木地区地域おこし協力隊」と現在のお仕事の活動内容についても教えてください。
対馬さん:現在は本業としている「地域おこし協力隊」は、地域のIT力の向上・推進とそのサポート、写真や動画で魅せる観光推進・誘客などがメインの活動です。今後はドローンを活用して先述したコンテンツと組み合わせ、更なる事業の強化を考えています。
Q.WEBクリエイターのお仕事もされているとお聞きしました。
対馬さん:兼業として、デジタルコンテンツクリエイター(総合的なWebクリエイターなど)や風景写真家、動画クリエイターとして活動しております。青森県内でもHPの制作歴やモニターツアーの撮影担当実績、カレンダーやポストカード出版、カメラ雑誌への寄稿などの経歴があります。
Q.今後「海の活動」について、なにか計画などはございますか?
対馬さん:海での活動については、自分が撮影しに行く場所のルールやしきたり、自然への配慮は怠りません。ゴミが落ちていたら持ち帰れる範囲で、できる限り拾います。植物は傷つけず、ありのままの姿を撮影したり、本来ある姿に戻す活動をしたいですね。
Q.写真家として、地域おこし協力隊員として、これからの抱負をお聞かせください。
対馬さん:持続可能な社会を目指している現代だからこそ、自分にできることレベルで頑張っていくことも大切なのかなと思っています。海はもちろん、海へ繋がる山や川、そのほかの撮影地でもこの気持ちを持って撮影していきたいですね。
Q.対馬さんが開催される予定の「個展」について、今回どうして開催しようと思われたのでしょうか?
対馬さん:きっかけは初回開催場所になっている「鳴海要記念陶房館」のスタッフの方にお声がけいただいたことでした。確かに「自分自身もそろそろ個展をやってみたい」とは思っていて、ちょうど良いタイミングだったということも重なりました。
Q.SNS上ではなく、会場で写真を見る醍醐味とは、なんでしょうか?
対馬さん:個展を開催することで今までSNSでしか伝えられなかったことが、見に来てくださった方に直接写真の説明ができます。また、自分の意思や考えを伝えた上で青森をもっと美しい状態で知ってもらえます。写真を2次元ではなく3次元で体感してもらうことも可能なので、さらに迫力を感じてもらえるのではないかと思っています。
Q.今回の個展は、青森県内を巡回されるとお聞きしました。
対馬さん:このコロナ禍で遠い地域に赴くことが不可能に近い方もいらっしゃると思います。しかし、できるだけ色々な人に作品見てもらいたかったので「見てもらえる場所に自分で行こう」と思いました。でも本音を言えば、”撮影した地域の人に見て欲しい”という気持ちもあります。自分が撮った写真を見た人に「こんな場所があるんだ!?」とよく言われます。自分が住んでいる地域にこんな絶景があっても、実は見たことがない、実は行ったことがないという話をよく聞くんです。みなさんそれぞれが住んでいる地域の素晴らしさを再認識してもらうためにも巡回という手段を選びました。
弘前市会場:鳴海要記念陶房館 ギャラリー〈火曜日休館〉
開催期間:2021年7月18日(日)~8月1日(日) 9:00~16:00
※最終日のみ片付けのため、15:00で終了
八戸市会場:八戸ポータルミュージアム はっち 2F ギャラリー2
開催期間:2021年9月10日(金)~12日(日) 9:00~21:00 ※初日は展示準備のため10:00~開催。
※最終日は片付けのため20:00で終了
青森市会場:青森県観光物産館アスパム 2F エネルギー館 ギャラリー
開催期間:2021年10月2日(土)~10月8日(金) 9:00~17:30
※初日は展示準備のため10:00~開催。最終日は片付けのため17:00で終了。
1994年12月21日 青森県弘前市(旧岩木町)出身
青森県弘前市内にある観光施設に5年間従事し、2016年より一眼レフでの撮影を始める。2019年には、都内にあるIT系の一部上場企業に就職し、大手ファッションブランドや大手薬品会社のLP・ページ管理・制作、Web広告制作、ディレクションなどを行う。
2021年、青森県弘前市にある「岩木地区(旧岩木町)」にて、地域おこし協力隊(弘前市役所 岩木総合支所 総務課 地域振興係)としての活動を開始した。
デジタルコンテンツクリエイター(Webクリエイター)、風景写真家、動画クリエイターを兼業している。
・フォトコンテスト受賞歴
対馬さんのSNSページ
Twitter:https://twitter.com/shin_12t
Instagram:https://www.instagram.com/shin_12t/
イベント名 | 【まだ見ぬ絶景を求めて】海と自然を愛する「青森の絶景カメラマン」対馬慎太郎さん |
海を愛するWEBライター。海のことを考えると夜も眠れない。