例年、8月1日から7日まで、青森市は「青森ねぶた祭り」一色に染まり、短くて熱い一週間に、市民は盛り上がります。
しかし今年は新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念されることから、戦後初めて、青森ねぶた祭りの開催が中止されてしまいました。
そんな前代未聞の夏でしたが「悲願の祭り」とも呼べる「青森市民ナヌカ日ねぶた」が、2020年8月7日に「青い海公園」で開催されました!!
「ナヌカ日」とは、青森ねぶた祭りの最終日である「8月7日」のことを呼ぶ青森市民の通称です。
例年ですと、日中に青森市中心街をねぶたが練り歩き、お囃子が響き渡ります。その後に会場を「青い海公園」へと移動し、入賞した大型ねぶたが船に乗せられ「海上運行」が行われます。
何千発もの打ち上げ花火の下、海の上をねぶたが移動する姿は感動そのもの。ナヌカ日が過ぎてねぶた祭が終われば、青森には秋風が吹くと言われております。
それが「当たり前の夏」であり「必ずやってくる夏の日」だと、多くの人々が思っていたことでしょう。しかし2020年は「ねぶたの無い夏」になってしまい、涙を流した人々もいたことでしょう。
しかし、青森市はそのナヌカ日限定のイベントとして「市民の皆様に青森ねぶた祭の雰囲気を少しでも味わっていただきたい」ということで「青森市民ナヌカ日ねぶた」の開催を決定しました。
「ねぶたの運行側にとっても、ねぶたへの情熱を持ち続け、ねぶたの無い異例の夏を乗り越えて来年の祭り開催に向けた想いを繋いでいくことを目的」とし、「大型ねぶた3台を屋外で披露し、ねぶた囃子を演奏するイベント」という内容なのだそうです。
歴史のある青森ねぶた祭りとしても、恐らく史上初となるこのイベント。果たして、どのように開催されたのでしょうか!?
ナヌカ日ねぶたで使用される3台の大型ねぶたは、青森駅前のベイエリアにあります施設「ねぶたの家ワ・ラッセ」で展示されているものが使用されました。
昨年度までに制作された大型ねぶたが、新型コロナの収束を願い、再び街へと繰り出します。
ねぶたが青森市内を移動している光景。この光景を見て思わず泣きそうになったのは、私だけではないはずです。
青森市の海を東西に繋ぐ橋「青森ベイブリッジ」の下を通り、会場である「青い海公園」へと向かった大型ねぶた。
青森県観光物産館「アスパム」のすぐ下に広がる青い海公園。
「ねぶたの無い夏」が、また「熱い夏」へと変わろうとしている会場は、少しずつ盛り上がりを見せておりました。
ちなみにこの「ナヌカ日ねぶた」は新型コロナウイルスの感染拡大防止の為に、様々な対策がされました。
「混雑時のソーシャルディスタンスを確保するため、入退場を全2部構成」とし「各部2,000名限定(合計4,000名)」の開催となったことが大きな特徴でした。
イベント当日はマスクの着用がお願いされ、入場時の検温実施や、会場内でソーシャルディスタンス確保の呼びかけがされました。
また、ねぶたの引手を担当されるスタッフのみなさんも、出来る限りのマスク着用もお願いされました。
青い海公園内に設置された消毒器コーナーで、みなさんしっかりと消毒をしてから入場されました。
ここまで徹底した感染症対策が、これからのお祭りの常識になっていくのかもしれませんね。
そして、本イベント会場への入場者は「事前の応募による抽選」とされ、対象は「青森市内に在住の方限定」となりました。
16時30分、ついにナヌカ日ねぶたの第一部が開始されました。
戦後初めての「青森ねぶた祭りが開催できなかった夏」の青森市ベイエリアに、ねぶた囃子が響き始めます。
青森湾をバックに、各団体の囃子方のみなさんが、ソーシャルディスタンスを意識しながら演奏を開始しました。
久しぶりに聞くねぶた囃子。今年は聞けないと思っていたねぶた囃子が響き渡る空は、しだいに夕暮れ時へと傾き始めました。
そして第一部が終盤に差し掛かる18時30分頃のことでした。
なんと、奇跡のような光景が青森の海に広がったのです。
この続きは「後編の記事」でどうぞ!!
<写真提供>
・青森大学 教授 清川繁人さん
・青森大学 事務局 牧野俊之さん
ありがとうございました!!
イベント名 | 【収束を願って】「青森市民ナヌカ日ねぶた」が開催されました【前編】 |
故郷の青森市を拠点に写真家&ライター活動をしている。季節に関係なく全身で海を感じ、海産物に囲まれていると幸せを感じる。
Instagram:https://www.instagram.com/hary_k_photo/