「今は青森を離れていても、青森に対する地元愛は人一倍に強い」「将来、地元青森を観光の力で、地域活性するのが私の夢」
そんな大きな夢を実現する為に、青森県外で仕事をしながらも、得意な外国語を駆使して世界へ青森県の魅力を発信する活動をしている三上 未夢(みかみ みゆ)さん。
「ときどき、自分をリセットする為に、青森の海を見に行きます」という彼女。過去に海外留学と旅をした経験談と、青森という土地に対する熱い思いを、今回はお伺いしました。
三上さんが生まれたのは「桜の街」として有名な青森県弘前市。歴史深い北国の城下町で育った彼女と世界をつなぐきっかけができたのは、小学5年生のこと。
自宅の近所に新しくできた英会話教室に通い始め、たまにやって来るネイティブの先生と英語で会話をすることで英語の楽しさに目覚め、そこから自然と海外への興味が広がっていったそうです。
中学を卒業後は、外国語科がある青森市の青森南高校へ入学。英語とロシア語の勉強に励む毎日をおくったそうです。
歴史深い内陸の弘前市とはまた違い、港町である青森市の海を学校帰りに眺めることもまた、海外への憧れを大きくさせる要因になったとか。
この日三上さんが訪れたのは、日本海に面した深浦町の千畳敷海岸。その昔、津軽の殿様が畳を千畳敷いて宴を開いたということが名前のきっかけになったそうです。
ふだん、海を見ることの少ない内陸に生きる人々にとって「美しい海を見られる」という感動は、恐らく今も昔も相当に大きなものなのでしょう。
高校卒業後の進学先で少し悩んでいた三上さんは「次世代リーダー養成塾」という全国の高校生が集まる2週間のサマーキャンプに参加しました。
そこで「海外の高校に通っている高校生」「海外で活躍している大人たち」に出会い、視野が一気に広がったそうです。そして自分自身も「世界に出て活躍したい」と思い「海外に留学する」とすぐに決めたのだとか。
卒業後は東京で一年間、海外の大学でも通用する英語を学びながら留学準備。同時に、夏休みを利用して青春18きっぷで西日本を一人旅。各地にあるホステルを泊まり歩き、海外からの旅人と仲良くなってホステルの魅力に心が奪われたそうです。
「なんだか線路を見ていると、列車で一人旅したことを思い出しますね」と笑う三上さん。ここ深浦町の「驫木駅(とどろきえき)」は、海のすぐそばを走る「五能線」の中でも「秘境」とも呼ばれる人気の高い駅なのです。
そして、列車で旅をしているうちに、地元の弘前には日本一の桜祭り、ねぷたまつり、りんご、四季折々の観光資源があるのに、魅力を伝えられるホステルのような宿泊施設がない、という事に気がついた三上さん。
海外からの観光客との国際交流の場であり、ローカルの人と観光客をつなげる場であるホステル。将来は自分がそんなホステルを立ち上げ、若い人達が地元に残るきっかけになる施設にしたい、という明確な目標ができた旅になったそうです。
そして「ホテルスクール」が特に有名だというスイスへ留学することを決めた三上さん。学校ではホテルで働くのと同じように制服があり、将来のホテルマネージャーになれるように、飲料部門、宿泊部門、マネージメント、ホテルのすべてについて勉強されたそうです。
違う国から来た友達と衣食住を共にし、ワイン、サービス、フランス語の勉強、週末はハイキング、学期休みはヨーロッパ旅行。
スイスに海は無かったそうですが、海のように大きな湖があり、夕陽がとても綺麗だったとか。そして英語の一番手っ取り早い習得方法は「日本語を全く話さない環境に自分を置くこと」だと身をもって実感されたそうです。
スイスへの留学中に一番苦労されたことは「インターンシップ先を探す」ことだったという三上さん。
海外で働かせてもらうのは簡単なことではなく、特にスイスではフランス語、ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語などが公用語で、それらを現地で的確に話せるのが第一条件だったそうです。
なんとか勤めることができたのはスキーリゾートの5つ星ホテル「Le Grand Bellevue」 初めての海外で働く経験は毎日緊張と勉強の繰り返しだったとのこと。
二回目のインターンシップ先に選んだのは、なんと5000室のメキシコのメガリゾート。26個もあるレストランとバーをまとめるFood&Beverageのマネージャーさんの下で働かせてもらったそうです。
最初はスペイン語がわからなくてコミュニケーションがとれなくて悔しく、必死になって勉強し、数ヶ月後にはほとんどの会話ができるようになったのがメキシコで一番の収穫になったようです。
また「エコツーリズムで最先端な国」としても有名なコスタリカでもインターンシップをさせていただく機会があったという三上さん。
勤務したホテルは「ラグジュアリーだけど環境にやさしい」「地域にやさしいオペレーション」を実践していたそうです。その内容もまた、プラスチックを使用せず、食材は地元で作られたものだけを使い、生態を壊さないように植物は現地で生えているものだけを使用するという徹底したもの。
コスタリカのインターンシップで、三上さんは将来「恵まれた自然を生かし、環境にも人のも優しい観光を青森でもしたい」と思うきっかけになったそうです。
日本へ帰国し、現在は京都のホテルへ勤務されている三上さん。「世界の国々へ渡り歩き、そこから客観的に見た日本の魅力、青森の魅力を、これからは自分が世界へ発信していく番です」と笑いながら語ってくれました。
ただ、青森県はやはり就職先や生活の面で、まだまだ都会との格差が感じられます。しかしそれをカバーできるほどの、海や山をはじめとする豊かな自然、素朴な田舎らしさ、人々の温もりは有り余るほど存在することも事実です。
今まさに存在するそれらの素材を活かし、都会とは違った青森らしい魅力を発信し、地域活性化をしていくことが、未来の夢なのだそうです。
ときどき行き詰まった時には、青森の海を全身で感じ、海の向こうで勉強し経験したことを思い出すという三上さん。
「青森の海って、日本離れした景色もあって、もっと多くの人が注目してくれる場所になればいいのにって思いますね」
笑顔が印象的な彼女が、これからどのように青森の魅力を発信していってくれるのか、楽しみですね。
1996年、青森県弘前市出身。青森南高校外国語科、スイス César Ritz Colleges Switzerland 卒業。
「将来、地元弘前市にホテルを作り、地域活性に貢献する」を目標に掲げ、本業の傍ら、地元青森の魅力を英訳し海外へ発信するサイト「Aomori and you」を友人と立ち上げ、運営活動をしている。
Facebookページ: https://www.facebook.com/Aomori-and-you-112110850315806
Instagramページ: https://www.instagram.com/aomori.and.you/?hl=ja
イベント名 | 【海インタビュー】海外留学の経験と外国語を駆使し、青森を世界に発信する三上未夢さん |
「海と日本プロジェクトin青森県」の特派員として、写真家&ライター活動をしている。定期的に海を全身で感じないと軽くバグるので、海産物に囲まれていると幸せを感じる。