「外ヶ浜町」は、津軽半島の北東部に位置する海に面した町です。
2005年に蟹田町、平舘村、三厩村が合併してできた町で、陸奥湾、津軽海峡、日本海と様々な名前の海と共に人々が生きております。
この外ヶ浜町を盛り上げようと、今年から活動を開始した非公認キャラクター「風乃まち」を、今回はご紹介させていただきます!!
私が「風乃まち」を知ったのは今年の8月のこと。
Twitterで、なんとも可愛らしいイラストと共に紹介されていた「風乃まち」が目に入り、海と日本PROJECT in 青森県の記事としてインタビューさせていただきたい旨をメールでお伝えしたところ、ご快諾をいただきました。
風乃まち:実は具体的な考えを持ったとのは本当に最近のことです。故郷の外ヶ浜町の自然にふれたり、人々と関わったり、食べ物を食べたりしているうちに、「何とかしてこの地域を守れないかなあ」と思う瞬間がひとつ、ふたつと出てくることに気づきました。
中学校の時の合唱曲で『海の匂い(組曲「海の詩」より)』という曲がありました。「ふるさとは、海の村には、もう、若者を育てる力がないという」という歌詞がずっと頭に残っていて、「自分も故郷の為に何もできていない」というところが引っかかっていました。
「何か効果を実感できる方法はないか」と探した結果、たどり着いたのが「キャラクター」という方法でした。
風乃まち:私こと風乃まちの中にもたくさん表現されていますが、魚介類のおいしさは「この町に住んでいてよかった」と思うことのひとつです。私は青森生まれですが、両親の仕事などで青森を離れていた時期も結構ありました。子供の頃はウニが苦手だったのですが、「平舘産のウニ」を食べて大好物になったほどです。今では毎年、ウニのシーズンが楽しみになりました。
また、ウニと同じ時期にホタテの出荷がありますから、地元の漁師さんからいただいたりすることがあります。まだ生きているホタテを貝から外すのはなかなか苦手なところですが、むきたてのホタテのお刺身、そして新鮮なウニ、さらにお気に入りの青森の日本酒と合わせると、その時間は「幸せ」でしかありません。
それから「トゲクリガニ」も外せない味覚です。「蟹田のカニ」は特に「カニみその濃厚さ」を感じます。お花見の時期になると他の地域からも買いに来る方が多いのですが、納得できるところです。
他にもおいしい魚介類は上げ連ねたらキリがないですが、平舘のタイ、焼き干し、津軽海峡のマグロ、陸奥湾内のカレイ、季節限定ですがシロウオも外せない食材です。
美しい景色も、かなり多くあります。でも自然の豊かな町に住んでいると、一般的な写真映えとか、メジャーなところというよりは「歴史とか時間とかを含んだ自然の姿」に心を打たれる気がします。
特に龍飛崎の光景は、どの天気、どの季節の時に行っても、なんらかのインパクトがあると思います。もちろん、無風で快晴の龍飛崎に出会えたら、それはラッキーと思いますが、あまり人の行かない大荒れの時の龍飛崎に行くと「自然の猛威」を身近に感じます。
もちろん安全な日に行くことをお勧めしますが、かつての昔話や歴史の中で描かれている「竜の姿」というのは、こういうものなのではないかと実感します。
私たちは、日常いろんな道具を使い、便利な生活に慣れています。でも、荒れている龍飛では、いくら便利な道具があっても、人間が立っていることすらできない時があります。
「美しい」というのとは少し違うのかもしれませんが、人間のおごりとか、プライドとか、人間関係の色々なこととか、そんなものはほとんど意味がないということを実感させられる。そういう意味では、「すごい景色」の中に自分を置くことができる、と思っています。
身近なところでは、太宰治の「小説津軽」にも登場する「観瀾山」から見る晴れた外ヶ浜の景色は、しばらく見ていられる光景です。冬の晴れた早朝、朝日が昇るころに「ケアラシ」が起こる陸奥湾を走る漁船の姿も、とても写真では伝えられないすばらしい景色です。
風乃まち:陸奥湾は私の生活の場でもあるので、思っていることは複雑です。今のところ豊かですが「私たちの意識をもう少し高めないといけない海」なのかなと感じます。
このところの気象の変化のためなのか、水温の問題や、魚介類の水揚げの変化などを見ていますと、気になることがあります。
「ヤマセ」という北東季節風がありますが、一般的に言うと「夏場に冷害の原因になる」とか「高齢者の方だと腰や膝が痛くなったりする」など、気象としては厄介者のように思われがちです。でも、ホタテの漁業者の方に聞くとそうとばかりもいえず、「ヤマセが吹くことによって、夏場の水温が下がり、海水が攪拌されることによってホタテが暑さにやられずにすんでいる」と言います。
陸奥湾でおいしいホタテが作られるためには「ヤマセは時に必要な気候」だということを、知らない方は多いかもしれません。
天候についても「晴れていれば良い」「嵐は良くない」というわけではありません。私たちは「人間が都合がよいように」コントロールしようとしますが「自然というのはもっと大きな時間と視点で動いている」ということを「海」のある地域では小さな日常の中でも感じられると思います。
日本海は、外ヶ浜町というよりは西津軽のイメージが強いですが、十三湖に拠点を置いていたという安東水軍のように海を舞台にした歴史を感じます。
日ごろ陸奥湾に向き合っていると、広さがまったく違いますし、獲れる魚ももっと豊富で大きい印象があります。
陸奥湾は「陸奥湾フェリー」などのように青森県内の各地域を結ぶ感じがありますが、日本海となると北前船みたいな全国的な交流のイメージです。外ヶ浜地の地域の寺院などは、江戸時代の北前船を使ってこの地域に移ってきた由来が多いと聞いたことがあります。
津軽海峡は昔からの歴史的な境界線のイメージですね。風乃まちの背景にある「義経伝説」も北海道に渡るときに海が荒れていて渡れないことがひとつのシーンとなっています。また、平舘にも足跡がある吉田松陰などは、津軽海峡や陸奥湾を航行する外国船の状況を遊学に来ています。また、「龍飛の黒神」という昔話もありますが、やはり昔から「荒れ狂った荒々しい」印象があり、先ほどもすこし触れたように、ちょっと神がかった場所でもあると思います。
というわけで、今回のインタビューをお願いしたところ非常にたくさんの「外ヶ浜町の魅力」を語ってくれた風乃まち。
美味しい魚介類や美しい景色はもちろん、ロマンが感じられる歴史が深く、さらには海に住んでいるからこその「海の感じ方」と、とても興味深い内容ばかりでした。
後編の記事では、さらに深く語っていただけておりますよ!!次回をお楽しみに!!
■風乃まち情報
・公式ホームページ:https://ka2en0mach1sotogah.wixsite.com/website
・Twitter:https://twitter.com/machi_kazeno
・Facebook:https://www.facebook.com/kazenomach1
イベント名 | 【前編】外ヶ浜町非公認キャラクター「風乃まち」が語る「外ヶ浜町の本当の魅力」とは? |
故郷の青森市を拠点に写真家&ライター活動をしている。季節に関係なく全身で海を感じ、海産物に囲まれていると幸せを感じる。