「本州の最果て」とも呼ばれる、青森県東通村尻屋崎。
青森県の中でも「私が特に好きな海スポット」と思っている地で、毎年1度は足を運んでおります。
尻屋崎。生まれて初めてこの地を訪れたのは、小学3、4年生の頃だったと思います。
親と共に車でやって来て、地図を見て「ここから先はもう、海しかない」と教えてもらいました。
まるで、世界の果てまでやって来たような、そんな誇らしい気分になりました。
それから早25年ほど。
18歳でオートバイに乗り始め、一番最初に「ロングツーリングをしたい」と思いたって向かったのが、やはりこの尻屋崎でした。
本州最果ての海は、いつも、どこか異国離れした光景のような。
それでいて、いつも変わらないで「おかえり」と待っていてくれるような。そんな時間が流れてます。
そしてやって来た、2021年秋の尻屋崎。
海を眺める一人の男性と出会いました。
彼の名前は「アヴェマナヴさん」
むつ市在住のアヴェさんは、インターネットショップで海産物などを販売する「阿部商店」を営むお方です。
前からTwitterの方でやり取りをさせていただき、何度か「海と日本PROJECT in 青森県」の記事にもご登場いただきました。
実際にお会いしたのはこの日が初めて。
アヴェさん「新型コロナウイルスに、8月の豪雨被害に、下北半島の経済、観光もまた、非常に厳しい状況が続いてます。なんとか地元を盛り上げる活動がしたいですね」
そんなことを話しながら海を眺めるアヴェさん。
海に関わり、海と共に生きる彼にとってもまた、この下北半島はかけがえのない場所なのです。
そしてこの日は、私の妻と息子も一緒に遊びに来てました。
赤ちゃんの頃から遊びにきている尻屋崎。周りにあまり人も居なくて、息子もたくさん走り回れる場所です。
岩の隙間に何か、面白い物を見つけたのか? それとも、カニやヤドカリなんかを見つけたのか?
子供にとって、海はまるで先生のように、優しく色々な経験をさせてくれる場所です。
もし息子が将来、この尻屋崎を「お父さん、お母さんと一緒に遊びに行った場所」と思い出して、一人で来ることがあれば。
その時にも、変わらないこの海が、ここにあればいいなと思いました。
そしてこの日は「寒立馬(かんだちめ)」は、ずいぶんと遠くにぽっつりと見えるくらいで、海のそばには居ませんでした。
ちょっと寂しかったですが、元気でよかった。
そして海から戻ると、そこにアヴェさんの姿はもうありませんでした。
バイクだけを残して、颯爽と消えたアヴェさん。
「アヴェさん、またいつか、ここで」
アヴェさんが置いていった「私のバイク」を眺めながら、そう思いました。
イベント名 | あぁ尻屋崎 〜アヴェとバイクと、親子の時間〜 |