津軽の海を堪能するなら千畳敷海岸!大自然の中で子供と遊ぼう
弘前市に住んでいると、海までは車で2時間かかります。
なかなか重い腰が上がらず、小学生の子供たちが海を見たのは片手で数えられるほど。
でも、子供たちにはできるだけたくさん自然に触れてもらいたいものですよね。
さて、どこかへ行きたいけど、どこへ行ったらいいかな…。
そんなとき、子供のお友達のお母さんから声がかかりました。
「息子がカニ取りたいって言うから千畳敷に行くんだけど、一緒に行かない?」
まさに心を読まれていたかのような内容とタイミング!
二つ返事をして、準備を始めました。
青森県西津軽郡深浦町にある千畳敷海岸は、「日本の水浴場55選 ~清潔安心楽しい水辺~」にも選ばれたことがあるそうです。
景観が優れていること、水質が綺麗なことや、ごみの処理がされているかなど、いくつかの基準項目に当てはまった水辺が選ばれます。
間違いなく千畳敷海岸の景観は圧巻です。ごみが落ちていないというのも評価されるべきポイントですね。
千畳敷の名前の通り、昔、殿様が千枚の畳を敷いて宴を催したとか。
本当にそんなことも出来てしまいそうな、平らな岩がどこまでも広がる雄大な海岸です。
ところどころに不思議な形をした大岩がそびえていて、一層目を惹く景観となっています。
駐車場に設置された看板には奇岩が紹介されていました。
ゲーム感覚で10ある奇岩を写真におさめるというのも、楽しそうです!
子供と遊ぶときには、着替えやタオルなどを車にすぐ取りに行けるかどうかも意外と重要なポイントだと思います。
千畳敷海岸は駐車場がすぐそばにあるので安心ですね。
この日は快晴。
網とバケツを持って、さぁ、さっそく海岸を歩いてみます。
晴れた日の海辺は本当に気持ちがいいものです。
潮風を浴びながら、吸い込まれそうな青い空の下、耳を楽しませるのは岩の隙間を縫って打ち寄せる波の音。
もうこの場所にいるだけで癒されます…。
が、放っておくと子供たちがずんずん離れていくので慌てて追いかけます。
平らな岩が広がる千畳敷ですが、まるで巨人が大きな斧でかち割ったかのような裂け目がいくつもあります。
どうしたらこんな形になるんだろう…。
生き物のいそうな場所を探しつつも、そんなことばかりが気になって、自然の神秘を感じざるを得ません。
神様が粘土細工でもしたかのようです。
千畳敷海岸はカニなどの生き物を探すにはとても良い場所ですが、子供にとってはやはり危険な場所です。
浅い場所もあれば、深くなっている場所もあり、また深くえぐれたような高さのある割れ目もたくさんあります。
子供と遊びに行くのであれば、絶対に目は離さない方が良いでしょう。
平らとは言いながらも、高低差があるところも多いです。
「あれっ、消えた!」
と思ったら、低くなった岩場にかがみこんでいて見えなくなっていた場面もありました。
小さいお子さんは特に注意が必要です。
海水がたまる波の静かな部分もあって、魚が泳いでいる姿も見えます。
どんなところにどんな生き物が住んでいるのか、こうして実際に見て学べるのが自然の素晴らしいところですね。
子供たちは浅い場所で石を裏返したり隙間に棒を差し込んでみたりして、夢中になってカニを探しました。
これです、これ。
子供たちに体験させたかったのはこういう自然の楽しみ方だったのです。
「〇〇ちゃん、そっちに網置いて待ってて!」
「来た、来た!とれたー!」
「見せて見せて!」
子供たちのはしゃぐ声もまた、日ごろの疲れを忘れさせてくれるものですよね。
大人も一緒に夢中になってヤドカリやカニを探しました。
普段、こんなに近くでカニを観察することもありません。
意外とかわいい顔してるなぁ。
子供たちはエビや小さな魚、とても小さなアメフラシも捕まえてきました。
海の中のナメクジのような見た目のアメフラシ。
その生き物に私は良い思い出がありません。
小さいころ、海で泳いでいたら目の前にとてつもなく大きな(当時はそう見えました)アメフラシがおり、そばを泳いでいた弟がそれを網の柄でつつくと紫の液体を出したのです。
それがあまりに気持ち悪すぎて記憶に強く焼きつき、今でも思い出します。
そんな私ですから、子供たちがバケツに入れたアメフラシを見せてくれたときには、ぞっとして逃げ出しました。
その反応が面白かったようで、子供たちはまたしばらくすると私に小さなアメフラシを見せてくるのです。
見ると背中に虫が這うような感覚で、どうしても直視できません…。
私の弱点がひとつ露呈しましたが、それも含めて、子供たちに新しい体験をさせてあげられて良かったです。
つかまえた生き物たちは、最後ちゃんと海に返してあげました。
もうアメフラシだけは絶対に、二度と私の前に現れないでほしい。
さて、ひとしきり遊んだあとはお腹が空いてきますね。
実は遊んでいる最中から、駐車場のすぐそばにある食堂の女将さんが、ずっと声をかけてくれていました。
「お腹空かないが?休んでいぎへ(休んでいって)!」
そろそろ遊び疲れてきたころ。
イカ焼きの美味しそうなにおいにも釣られて、食堂で昼食をとることにしました。
私たちがお邪魔した食堂の看板には『名物女将の店』とあります。
なるほど納得。
出迎えてくれたのはとっても元気で明るい女将さんです。
大人数だったこともあり、外が見える広いテーブル席に通してくれました。
海を見ながら食事が出来るのは嬉しい限りですね。
かもめが一羽、石碑の上にとまっていました。
とてものどか。
空と波間を眺めてゆったりとした時間を過ごすのも、海に遊びに来る醍醐味だと感じます。
こうして景色を楽しめると、食事が出来上がるまでの待ち時間なんて少しも気になりません。
それでも待ち時間は長くなく、子供たちが注文した岩のりラーメンはすぐに運ばれてきました。
私はイカ焼き定食を注文しました。
やっぱり青森の海では、イカを食べないと。
食事中も他のお客さんと盛り上がる女将さんの元気な声が聞こえていて、こちらも明るい雰囲気で過ごせました。
食事が終わるころ、女将さんが来て子供たちに駄菓子をたくさんくれました。
飴にしようかラムネにしようか、すぐに決められない我が子に、「どっちも持ってけ!」と言ってくれる優しい女将さんです。
「また来るんだよ!」
と手を振ってもらえると、嬉しいものですよね。
絶対にまた会いにきます。
(出典:写真AC https://www.photo-ac.com/)
この日は午前中に出かけたこともあって、夕陽の時間まではいませんでした。
長く青森県に住んでいますが、実はここで夕陽を見たことはありません。
改めて考えてみると、なんともったいないことでしょう…。
千畳敷海岸は「日本の夕陽百選」にも選ばれています。
家から2時間かかることを考えると、夕陽が落ちるまで待っていられず…。
という人はもしかしたら同じ弘前市民には多いかも。
でもいつか、帰りが遅くなることも想定したうえで、夕陽を見るために千畳敷海岸を訪れたいと思います。
遠くまで続く平らな岩場。
時折裂けて切り立った部分に登ってみたり、潮が吹きだす割れ目を跳んでみたり。
まるでロールプレイングゲームの世界にいるようで、子供と一緒にはしゃいでしまいました。
また2時間の帰り道。
海風に当たりながら生き物を追って駆け回った子供たちは車中でぐっすりです。
大人のなまった体には多少の疲労感がありましたが、心の爽快感を噛みしめながら車を走らせました。
やっぱり海は良い。
次はどこへ行こうか。
静かな車中で、海の音がすでに恋しく思われました。
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