レポート

サイトウパピコ展「はまなすのおかで」〜海を表現〜

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サイトウパピコ展「はまなすのおかで」

先日、鯵ヶ沢町・グランメールさんで開催されたサイトウパピコさんの個展「はまなすの丘で」を見に行ってきました。

(画像:https://papico.blue/より)

■サイトウパピコさんとは


(画像:https://papico.blue/より)

サイトウパピコさんとは、青森県鶴田町在住のアーティストです。
長年こども園に保育士として勤務し、2016年に「好きな絵と共に生きる」と心に決め「サイトウパピコ」として起業されました。
子どもたちの未来のために、アーティストとして、3児の母として、「頑張る女性を笑顔に」「お母さんが幸せで、満たされた世界」を目標に活動をしています。
子どもから大人まで参加できるドットアート教室も開催しており、全国のみならず海外やオンラインでも精力的に開催しています。
また、近年では地元の子ども園や中学校・高校でもアート教室を開催するなど、広く活躍しています。

■絵の世界観について

サイトウパピコさんは、アボリジナルアートと言われるオーストラリアの先住民アボリジニの人々により描かれたアートの世界観に惹き込まれ、独学でアボリジナルアートを学びました。
アボリジ二の人々は、当時読み書きの文化がなかった時代に絵を描くことで後世に文化を伝えていこうとしていました。そのアボリジナルアートの中でももっとも伝統的な手法と言われているのがドットアートです。
サイトウパピコさんの絵には、人や場を癒し浄化すると言われるヒーリングアート、地球のエネルギーを込めたテラアート、そしてアボリジ二のエネルギーを取り込んだドットアートがあります。
ドットアートの特長は、たくさんの点の集合体の絵を描くことにあります。一見抽象画のように見える集合体も、全て自然との繋がりを意味する表彰をしていると言われています。

■地元の個展での出会い

私がサイトウパピコさんの絵とはじめて出会ったのは、2022年5月に五所川原市で開催された「アベマリア展」でした。
アートの分野にまったくもって疎い私なのですが、自宅にポスティングされたチラシをきっかけに何かに引き込まれるように個展へと足を運んでいました。ちょうど環境の変化の時と重なっていたからかもしれません。
個展会場にはパピコさんご本人も在廊しており、少しだけお話しさせていただくことができました。
地元にこんなに素晴らしいアーティストさんがいたこと、ドットアートという絵のジャンルがあること、目に入るものや自分の中に入ってくる知識の全てが新鮮で衝撃的でした。
また前職が同じ業種であることや、母であることの共通点などから勝手に親近感を抱いていました。また、この時飾られていた大きなクジラの絵がとってもとっても素敵で、今でも頭から離れません。

■はまなすのおかで

そんななか、鯵ヶ沢町でまた絵が展示されるということで、お邪魔してきました。
会場であるグランメールさんは、「偉大なる海」という名の通り日本海が一望できるホテルとして知られています。

そのグランメールさんの、海が一望できるギャラリーにて絵は飾られていました。
個展の名前は「はまなすのおかで」。鯵ヶ沢町では「はまなす公園」と呼ばれる海水浴場があるほど、はまなすの花にゆかりのある町なのです。鯵ヶ沢町役場のホームページでは、町の花として紹介もされています。
「はまなすは、赤石から川尻に至る海岸砂丘に群れ咲き、赤い実をつけます。日本海の潮風に耐えて繁殖する生命力は、町民の純朴さ、辛抱強さに通じます。(https://www.town.ajigasawa.lg.jp/index.htmlより抜粋)」と記載されている通り、風が強く波の荒い日本海の海岸でも力強く咲いているのが特徴です。
日本海が一望できる鯵ヶ沢のホテルでの開催ということ、さらに、「生まれ故郷」である鯵ヶ沢町での開催ということで、「はまなすのおかで」というタイトルに深い愛情のようなものを感じます。

パピコさんが開催する絵画教室は多数ありますが、今回は鰺ヶ沢会場ということで鯵ヶ沢町のこども園での絵画教室の様子も飾られていました。個展会場に記してあるものやホームページ、SNS等でも常々「子どもたちの力はすごい」と発信していて、この会場で目にすることのできた一部のものだけでも、アートを通じて子どもの力を感じるものがありました。なんとも、日常生活で忘れがちだった大切なことに気づかせてくれます。

毎日でも、毎時間でも変化していく日本海の海を表しているというこの絵たちを見ていると、不思議な気持ちになります。
アートを見ているのだけど、海を見ている。でも、一度目を離すとまた違う海にも見える、そんな気がしました。

引き込まれそうなほどに濃い青色もあれば、陸地と海とをつなぐような淡い青色もあり。一言に「海の色」と言っても数えきれないほどの数の色を使っているのだろうな…と近くで見ていて思いました。海と砂とが交じり合う砂浜も、まるでそこが海かのように見えてきます。

間近で見てみると、線で描いているところ、点で描いているところ、同じ色のように見えて違う色が重なっているところ、などが見えてきます。パピコさんの目には鰺ヶ沢の海がこんなふうに見えているのかな…と少しだけ感性を分けてもらった気分でした。

我が子と以前はまなす公園の海水浴場へ行ったとき、海を橋の上から見た5歳の娘が「海って青とか緑とか白とか、いろんな色でできてるんだね」と話していたことを思い出しました。その時は「そうだね、すごいね」くらいの相槌しか打てなかった気がして、今になってその感性の素晴らしさがわかった気がします。もし今自分で海を描こうとすると、典型的な青色一択だったのではないかなと。でも、パピコさんの描いたたくさんの絵を見ているうちにその「すごい力」のことも思い出させてもらい、来て良かったな、大事なことを忘れなくて良かったな、と心から思いました。

■「好き」を突き詰めるということ

パピコさんと言えばブルーの印象が強く、ご本人のホームページにも「blue」の文字が入っています。
一度、どうして青にこだわっているのかを恥ずかしながらお聞きしたことがありました。(本当に絵画の分野に造詣がなく、お恥ずかしい…)すると、「好きだから。それだけですね!」とまっすぐな笑顔で答えてくださいました。
「好きな絵とともに生きていく」と決意してアーティストになったこと。その決意には、好きなことから逃げない、好きを貫いていく、という覚悟のようなものも感じます。
一見好きなことを仕事にできるのは幸せなことのようにも見え、実際私もそんなことを長年思っていました。ですが、好きだからこそ向き合うことがつらくなる時、好きではなくなるのが怖くなる時。そんな時に自分はいったいどうするんだろう…。「好き」にはそんな不安もつきものなのだと、今になってわかります。
パピコさんの絵や個展を通して、「好き」と貫く勇気を持ち続けること、努力を続けること、その大切さを語ってもらっているような気がしました。

県内外に限らず、全国、はたまた全世界で活躍している県内在住アーティストさんの活動に少しでも触れることができたことを、とても嬉しく思います。
ぜひ、パピコさんの世界をのぞいてみてください。
ホームページ:https://papico.blue/
Instagram:https://www.instagram.com/papico.blue/

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