陸奥湾に面した青森県野辺地町は、海と青森県の繋がりを現代に伝える古い歴史を語るうえでは特に重要な町のひとつです。その野辺地町の海沿いに面した公園が、今年はさらにパワーアップしたと聞き、今回は取材してまいりました。
野辺地町の漁港や海水浴場にもほど近く、海に面した公園として有名な「常夜燈公園(じょうやとうこうえん)」
「そもそも常夜燈とはなんぞや?」という方々の為にご説明させて頂きます。簡単に言えば「灯台」のような役割をしていたものです。野辺地町は文政時代に岩手県の盛岡藩が日本海航路への窓口として野辺地港へ訪れるなど、海運の重要拠点都市として賑わいをみせていたそうです。そして夜間に野辺地港へ夜間入港する船の目印として利用されていたのが、この常夜燈なのです。
2018年現在、国内に現存する常夜燈の中では特に古い物と言われていて、特に石で作られた常夜燈としては極めて古い、重要な建築物なのだそうです。
海に面した防波堤のすぐ近くに保存されている常夜燈の周辺は、今では遊歩道やベンチ、家族連れが遊べる遊具が設置されるなど、野辺地町の海を楽しめる公園として重要な拠点になってます。江戸時代の人が現在の常夜燈公園を見たら、きっと驚くでしょうね。
その常夜燈公園に今年4月、新たなる重要な建造物が仲間入りしました。その名は「復元北前型弁才船みちのく丸」通称「北前船」です。
北前船は江戸時代から明治時代にかけて、日本海の海運の主力となって活躍していた船で、今回設置された船はそれを復元したもの。全長はなんと32.0mと巨大なもので、載貨重量150t、帆柱までの高さが28m。帆船なので、エンジンなどの動力はありません。
平成17年に完成したこの船は、日本古来の和船建造技術、そして海の歴史を現代に伝えるために復元され、建造に携わった船大工はなんと16名だったとか!かつては青森市の沖館地区にあった「みちのく北方漁船博物館(現・あおもり北のまほろば歴史館)」に展示されていたのですが、平成26年3月からは野辺地町が所有することになったとのこと。そして今年の4月、常夜燈公園の敷地内に陸揚げされたのだそうです。
今では珍しくなってしまった木造の帆船。とてつもないオーラといいますか。存在感があります。青森県のみならず、日本の海運を支えてきた北前船を忠実に再現されたその姿に、思わずシャッターを切らずにはいられませんでした。世界でも名高い日本人船大工たちの技術が結集されているので、この船の存在自体が重要な文化財となっているのですね。
全国的にも希少な、石の常夜燈がある海沿いの公園。そこに新たに設置された、希少価値の高い北前船。この組み合わせって、とんでもないスペシャルなコラボレーションなのではないでしょうか?
海の歴史を後世に伝えるためにはとっても貴重な場所であること間違いなしなのに、本当に「ふらっと」休憩しに来る方々や、車内で仮眠を取っている方も・・・。希少な建造物が2つもある場所でありながら、地域住民の憩いの場としてしっかり町に溶け込んでいるのが、とても興味深かったです。
かつて北前船交易によって栄えた野辺地町を象徴する常夜燈と船のコラボレーションを、皆さんもぜひ一度ご覧くださいませ。
イベント名 | 【希少すぎ注意】野辺地町の「常夜燈公園」が北前船「みちのく丸」とコラボ。とんでもないスポットになっていた。 |
海が大好き。魚介類も大好き。3つの海に囲まれた青森県内を旅し、写真撮影と取材に情熱をかける男。海のことを考えると夜も眠れない