レポート

33年ぶりのご開帳を見逃した人は必見!深浦の観音様菩薩像レポート

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青森県の西海岸に位置する深浦町で、7月17日から31日まで33年に一度しか開かれることがない観音様の本尊御開帳が行われました。今回は残念ながら行くことができなかった人向けのレポートです。

■ 深浦の中心にある圓覚寺

本尊御開帳が行われているというのは深浦町の中心街にある圓覚寺(えんがくじ)。深浦町役場から歩いて約10分。JR深浦駅から徒歩約12分のところにあります。

▲圓覚寺入り口

正確に表記するなら真言宗醍醐派春光圓覚寺。津軽三十三ヶ所観音霊場の10番目に数える寺で、建立は807(大同2)年。そして33年周期に一度ご開帳されるという菩薩像は、あの聖徳太子が作ったと伝えられています。今から1200年以上前に征夷大将軍坂上田村麻呂が蝦夷討征の際に鎮護国家の誓願により作られたものとのこと。33年ごとのご開帳は開山以来続けているようです。

■ 菩薩像拝観までの道のり

本殿には正面の山門を通り、階段を10メートルほど登ればすぐに到着できます。拝観料を払うと、拝観に必要な一式が入ったビニール袋を手渡されますので、まずは中身を確認してみましょう。

▲ビニール袋に入っていたもの

本尊御開帳と書かれたパンフレットには歴史的概要や境内や周辺マップなどが6ページにまとめられてあり、木製の記念祈祷札はのちほど必要となります。左下の紙袋の中身はこんな感じでした。

▲木製の記念札とカードが2枚入っていた

現住職が謹写したという観音菩薩の記念札と、金運成就と健康長寿と描かれたカードが2枚入っていました。こちらは今回の拝観には使うことなく、持ち帰り用です。

さて、本堂からスタートです。

▲現本堂は創立より6度建て替え、1920(大正9)年に船大工らが作った

この日は本館外廊下を一周するほど行列ができていましたが、進み具合はよく、館内にあったふだん見ることができない古物などを眺めているとあっという間に中へ入ることができました。

▲豪華絢爛な装飾の数々

並んでいると、記念祈祷札に名前を記入してだいてくださいとのアナウンスがあり、借りたマジックペンで札裏に名前を記入。折って2つにしましたが、その左部分が本尊拝観のための割符となりました。

▲真ん中の折り目で分けることができ、右半分はお持ち帰り

■ 33年ぶりの菩薩像のその御顔は?

本尊から寺宝館は撮影禁止エリアとなっていたため、以下はテキスト中心にお伝えします。

まずは菩薩像前でお祓いです。5、6人で1グループという単位でお祓いを受け、すぐに拝観となりました。

▲若手の住職さんがお祓いを担当していた

格天井(ごうてんじょう)の1マス1マスには梵(ぼん)字が描かれていました。聞けば先代の住職が描いたものだとか。館内にある曼荼羅(まんだら)図も先代と先先代の住職が書いたものが多いようです。

お祓いの後、少し待たされましたが、1グループごとに本尊の拝観できる場所に入るようにしているため、前のグループが出るまでの時間でした。とはいえ、拝観時間などは指摘されず中には長くいらっしゃった人もいたのではないでしょうか。

いざ拝観。菩薩像の高さは3メートルほど。割とスタンダードな観音様に見えましたが、最初の印象、首から下げている草木のようなペンダント?でした。次に十一面観世音菩薩という正式なお名前の通り、冠にはいくつもの顔がありましたが、正確に数えることはできませんでした。おそらく計11個のあったのだと思います。

▲帰宅してから描いてみた菩薩像の簡単なスケッチ

とても穏やかな表情をしていました。一度秘仏にしてしまうと33年間は一度も開けないという話で、傷などはなく1200年以上の時の流れを感じさせる菩薩像でした。もっと見続けていたかったですが、待っている人のことを考えるとそう長くはいられず。本尊を後にしました。

■ 海に馴染みの深い圓覚寺

最後に少し歴史のお話を。なぜこのような本尊・十一面観世音菩薩があるのかというと、かつては日本の物流は日本海にあり、いわゆる北前船が日本の経済を動かしていました。

▲それぞれ形が違う童地蔵が境内にありました

十三湖を中心とした十三湊は日本でも最大級の港町として栄えたという資料もあり、深浦もまた、北海道や南への航海の寄港地として大きな役割を持っていました。

寺宝館に収められている「髷額」はそれを象徴するもの。当時は北前船の商人たちが航海の無事を感謝するため、髷を奉納していたという時代でした。そんな髷額や船絵馬は国重要有形民俗文化財に指定されています。1万人以上の毛髪で作られたという毛髪刺繍三十三観音図と毛髪刺繍八相釈尊涅槃図なども見応えはあり、機会があれば寺宝館だけでも立ち寄ってみるのもいいかもしれません。

次回拝観は33年後。2051年です。私はワンチャンありそうですが、どんな未来になっているのでしょうか。ちなみになぜ33年周期なのかというと、三十三観音の33からちなんでいるとか。観音菩薩の姿が33あるとも言われ、そのご利益を顕現化するためとも言われていました。

イベント名深浦の観音様菩薩像レポート
日程2018年7月17日から31日まで
場所圓覚寺

レポーター紹介

ライター・くどうたける
埼玉県出身のIターン。東京でウェブライターを経験し、2012年に青森へ移住。地域新聞や地域の情報を発信するお仕事をいただきながら、田舎でせっせと暮らしてます。実は孫ターン。
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