レポート
2020.08.30

【海インタビュー】ルーマニア出身のミハイさんは、なぜ青森が好きなのか!?

とある夏の日のことでした。

たまたま見ていた、私の知人がSNSでシェアしていた動画に、こんなシーンが写っておりました。

▲船の先端から、海へ向かって思いっきり飛び跳ねる豪快な男性。

その姿をドローンか何かで撮影したような、実にダイナミックな海の動画。

「いったいこの方は何者なのだろう?」と興味を抱き、共通の友人へコンタクトをしてもらったところ、ご本人から「取材OK」とお返事を頂きました。

■His name is Mihai

動画で豪快に海へ飛び込んでいた彼の名前は「Mihai- Florin Apostu- Oota」ミハイさんという、ルーマニア出身の方だったのです。 

20代前半に、お仕事の関係で青森市へ来日し、そこで青森県出身の奥様と知り合い、ご結婚されたというミハイさん。

日本はもちろん、青森県は人も場所も知らないものばかりで、初めはとても不安だったそうです。

でも、当時まだ小さかった息子さんと「一緒に遊べる場所を探そう」と思い立ち、青森市の海浜公園である合浦公園や浅虫温泉地区、平内町など、海に面した場所などを旅したといいます。

そうして「小さな冒険」をしているうちに、次第に「青森県って素晴らしい」と気がついたのだそうです。

■ドローンで撮影する青森県の魅力

ミハイさんは数年前から「ドローン」で青森県の自然を撮影し、編集した動画をご自身のYouTubeチャンネルで発信する活動をしているそうです。

ミハイさん「鳥たちと同じ視点から青森の自然を撮りたいと思ってドローンを買いました。最初は難しかったのですが、慣れてくると最高に楽しいです」

近年になって、一般のユーザーにも随分と普及してきたドローン。

ミハイさんが撮影したというドローンからの写真を、いくつか拝見させていただきました。

▲青森市の浅虫温泉地区の海に浮かぶ「湯の島」から撮影した写真。とても綺麗です!!

船で湯の島方面へ向かうことはできますが、なかなかそこからドローンで空撮をしている方は見たことがありません。

▲こちらも青森県内の海岸。シーカヤックが2隻並んでいるのが見えます。

陸から見るよりも、海がとても透き通って綺麗なことが、ドローンでの撮影を通じて知ることができたそうです。

■ロードバイクで陸奥湾沿岸を一周!

実に多趣味なミハイさんは、仲間たちと共に「ロードバイクで陸奥湾を一周する」というチャレンジをしたこともあるそうです。

青森市を出発して東方へ向かい、野辺地町から下北半島へ北上。

そこから大湊、脇野沢へ向かい「陸奥湾フェリー」を使って津軽半島の外ケ浜町蟹田地区へ移動。

そして青森市まで戻ってくるという「全長170km」の旅路を1日で走りきったそうです!

ミハイさん「陸奥湾は本当に綺麗で、気持ちの良くて、170kmの旅はあっという間でした。」

そして道中でもやはりドローンを使って、海岸を走る仲間の姿を撮影していたそうです。

▲青森県で生まれ育った私ですら、この海岸線と海の美しさには驚きました。

青森の海って、こんなに綺麗だったのですね!!

■「自然」の大切さを、青森から世界へ発信

冬は八甲田山でスノーボードを楽しんでいるという、本当に多趣味なミハイさん。

ルーマニア出身の彼から見た「青森県の魅力」とは具体的にどんなことなのか、お聞きしてみました。

(以下、ミハイさん談)

青森県って、海と山がすごく近い、ということが世界的に見ても素晴らしいと思います。

私が生まれたルーマニアの都市は、国の中でも内陸にありました。海(黒海)へ行くのには、車で6時間もかかりました。

海を実際に見ることができるのは年に一回の家族旅行の時だけ。その分、海が見えた時の感動は、本当に言葉では言い表せないものでした。

青森市に住んでいると、冬に朝一で八甲田山の山頂からスノーボードを楽しみ、お昼ご飯を食べたら、今度は午後から陸奥湾へ遊びに行くことができる。

こんなにコンパクトな土地で海と山の素晴らしい環境が揃っている国は、他にはなかなか無いと思ってます。

日本に来てとても驚いたのは、海水浴場での人々の過ごし方が、ルーマニアとはだいぶ違ったことでした。

ルーマニア人はなかなか海に遊びに行けないので、海へ着くとみんな水着になって日光浴を楽しんでいるのに、日本人たちは泳がない時はTシャツを着たり、日傘をさしていることにビックリ。

「なんで海に来て、日焼けしないようにしてるのだろう?」と。

でも次第に、日本人にとっては海は身近にある環境なので、いつでも遊びに来れるから「日焼けしすぎないようにしている」ということに気がつき、なるほどと思いました。

それと「魚の味」がルーマニアと日本では全然違います。

ルーマニアがある黒海で獲れる魚はまさに「Fish!!」と言いたくなるような味ですが、日本の魚は「Fresh!!」です。新鮮さが素晴らしい。

そしてルーマニアでは日本の海水浴場のように「海の家」などでお肉料理や焼きそばを売ったり、みたいなものはあまり無いのです。

どちらかと言えば、海ではスイカ、ブドウ、メロンのようなフルーツや、トウモトコシを食べることが普通でした。

とにかく青森県は四季がハッキリしていることが、世界に発信したいと思える1番の理由です。

自然に身を置くと、とても大きなエネルギーを貰えますからね。

■自然に対して、何ができるか?

ミハイさんは海でも山でも、自然へ遊びに行く時は必ず車にゴミ箱を積み、自主的にゴミ拾いの活動をしているそうです。

YouTubeにアップされてるミハイさんの動画の中でも、山に捨てられた大量のゴミを広い集め、清掃活動をしているものがあります。

ミハイさん「私たちは自然から、とても多くのものを頂いている。それなのに、私たちは逆に自然に対して、何を返してあげられてるでしょう?

捨てられてしまったゴミを拾うことは、私たちが当たり前にしなければいけないことだと思います」

身近に自然があるからこそ、その自然環境の大切さを忘れてしまい、身勝手な行動を起こす人がいます。

でも、こうして自主的にゴミを拾い集め、自然の大切さを発信している方もいるのです。

清掃活動などのイベントを特別に行わなくても、ゴミが捨てられているのを見たら拾うことが「当たり前だ」というミハイさん。

みんなもっと自然環境に関心を持って、自主的にゴミ拾いなどをしてほしい、ということがYouTubeの動画に込められた願いなのだそうです。

日本人として「自然に何を返せるか?」をもっと深く考えないといけないなと、私も改めて感じました。

ちなみにミハイさんですが、日本に来るまでは「昆布」が全く食べられず、むしろ「馴染みのない海藻」としか思えなかったとのことですが、昆布のお味噌汁を飲んだりして、段々と食べられるようになったとのこと。

今ではホタテ、マグロ、イクラなど、日本の海産物が大好きになったそうです。

「世界的にも素晴らしい海を始めとする、青森県の環境を大切にしていきたい」と語るミハイさん。

船から豪快に海へ飛び込む動画から、ただならぬオーラを感じた彼。

実際にお会いしてみると、とても気さくで、優しくて、何時間でもお話できそうな、ナイスガイなお方でした!!

Mihai- Florin Apostu- Oota

UTCB-Universitatea Tehnica de Constructii Bucuresti 卒業。

SNSやYouTubeチャンネルを通じ、青森県の魅力を世界へ向けて発信している。

現在は青森市で、小さなお子さんから大人まで通える英会話教室「スマイル英会話」の講師をしながら、幼稚園、大学などで英語の先生をしている。

■「スマイル英会話」公式ホームページ:http://smileeikaiwa.jp/

■YouTuberチャンネル:https://www.youtube.com/user/justaomf

イベント詳細

イベント名【海インタビュー】ルーマニア出身のミハイさんは、なぜ青森が好きなのか!?

レポーター紹介

ハリヤマカズキ

故郷の青森市を拠点に写真家&ライター活動をしている。季節に関係なく全身で海を感じ、海産物に囲まれていると幸せを感じる。 

Instagram:https://www.instagram.com/hary_k_photo/

\ 記事をシェアしよう /
X LINE ニュースを共有

関連リンク

八戸前沖さば 不漁ピンチから生まれた新商品
レポート
2024.10.31

八戸前沖さば 不漁ピンチから生まれた新商品

先人たちから引き継いだ育てる漁業・海峡サーモン
レポート
2024.10.31

先人たちから引き継いだ育てる漁業・海峡サーモン

ページ内トップへ