レポート
2020.08.12

再建を果たした蕪島神社

八戸市鮫地区には、財宝を司る弁財天をまつり、古くから商売繁盛、漁業安全のため、地域住民の信仰を集めてきた蕪島神社があります。

蕪島地域はウミネコの繁殖地としても知られており、国の天然記念物に指定されています。

「蕪島」の由来は、野生のアブラナを指す、「蕪の花が咲く島」という説や、神を祭る場所としての「神嶋(かむしま)」であるとの説があるそうです。

言い伝えによると、1706年に神社は建立されたそうです。古くから地域住民に愛され、年始などには多くの参拝客が訪れていました。ところが、蕪嶋神社は2015年11月、火災が発生。大切にされてきた社殿は失われてしまいました。地元を中心に大きなニュースになり、再建のために寄付金が全国から集まりました。

2016年11月、工事が始まり、ウミネコの繁殖シーズンを避けながら、約5年をかけて新しい社殿が再建されました。新たな社殿は、蕪島のシンボルとして、従来の社殿と同じように八戸を見守ります。

ウミネコの繁殖も終わりかけている8月、階段を上って蕪島神社に行ってみました。

隣接する海水浴場には多くの家族連れが訪れていました。
神社のある頂上からは八戸市内が一望でき、空を見上げると、たくさんのウミネコが飛びまわっています。

ウミネコは魚の群れの上を飛ぶことから、「漁場を知らせてくれる弁天様の使い」として、主に漁民の間で大切にされてきたそうです。そのため、蕪島は全体がウミネコの大繁殖地になっていて、全国でも珍しい至近距離で繁殖風景を見られる場所になっています。

渡り鳥であるウミネコは、毎年2月から3月にかけて、繁殖地である蕪島へ飛来します。そして巣作り、産卵などを行って、5月ごろからはヒナが生まれ始めます。
ヒナは7月ごろに巣立ちを迎え、8月ごろに島から別の場所へ旅立っていきます。
巣立ちの時期を迎えた蕪島では、白い成長に茶褐色の若鳥がまじり、「ミャーオ」と猫に似た声を盛んに上げていました。

蕪島は八戸市から福島県相馬市をつなぐ「みちのく潮風トレイル」の起点と終点にもなっています。トレイルの魅力は、リアス海岸の風景や恵み豊かな漁場など、豊富な景観です。美しい自然を見ながら約1,000㎞のロングトレイルを楽しむことができ、夏の旅行に最適です。

社殿が消失している間はどことなく寂しい気分でしたが、立派に再建された現在のものを見ると、とても安らかな気持ちになりました。参拝客も多く、神社が心の拠り所として、地域住民に広く愛されていることが改めて感じました。

イベント詳細

イベント名再建を果たした蕪島神社

レポーター紹介

石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(9月開店予定)店主。ローカルメディア「八戸リアルストーリーズ」編集長、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)。

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