レポート
2021.09.30

Uターンして初めて気づいた「八戸の鯖の底力」

八戸に生まれ育った私にとって、魚は日常的に食卓に登場する食べ物でした。焼き魚や煮魚、刺身、あら汁など、いろんな種類の魚を食べて育ちました。その中でも、鯖は決して特別なものではなく、極めて日常的な魚でした。鯖は漁師だった祖父が「もらってくる魚」であり、食卓に鯖の塩焼きが出てきても、テンションは上りもせず下がりもしない。なので、全国有数の水揚げ量を誇るにも関わらず、「八戸の名物って何?」と聞かれても「鯖」と答えることはまずありませんでした。

そんな鯖が、私の中で「特別」になりました。Uターンして4年が経ったある日、八戸を訪れる人に真っ先に食べさせたい鯖に出会ったんです。

それがこちら。

八戸ニューシティホテルの虎鯖棒すしです。

「鯖は特別な魚じゃない」と思っていた私。初めてこの虎鯖棒すしを食べた時に、「八戸にはこんなにおいしい鯖があったのか!!」と衝撃が走りました。

しめ鯖なのに酸っぱくない…むしろ甘い…
鯖なのにトロのよう。脂の旨味が濃厚…でもくどくない…
噛めば噛むほど、鯖の旨味が出てくる…
ごはんがほどけて、鯖の旨味が口に広がって、飲み込むのがもったいない…

八戸に生まれ育ったにも関わらず、Uターンするまでこんなに美味しい鯖が八戸にあったことを知りませんでした。もう本当に、すみませんでした。心の底から八戸の鯖に謝りたい。

虎鯖棒すしを生んだのは、八戸ニューシティホテルの谷口板長です。

虎鯖棒すしに使われているのは、旬の時期に八戸で水揚げされた鯖のみ。八戸港は日本の鯖の漁場としては最北端で、鯖が水揚げされる9月頃は海水温が低くなり、脂乗りがぐっとよくなります。谷口板長のお話では、八戸で水揚げされた鯖の内臓には、脂の白い袋がついているそうです。この脂が、虎鯖棒すしになる鯖には必要なポイントなのです。

虎鯖棒すしは、酸っぱくなく、鯖の脂のうま味をしっかりと感じられます。使用する調味料は塩と酢のみ。添加物や保存料など、余計なものは一切使いません。「カタカナのものとか、自分が分からないものは使わない」のが、谷口板長が貫くポリシー。「老若男女問わず、美味しく食べてもらえるように」と、できるだけ地元産の材料・調味料を使うことにこだわり、骨抜きもすべて手作業で行われています。

Uターンしてくる前は、「八戸は鯖の町」という意識がありませんでした。でも今は自信をもって、「八戸の鯖は美味しいし、八戸に来たら虎鯖棒すしを食べてみてほしい」と言えます。「八戸の魅力を、鯖の美味しさを通じて伝えたい」と、谷口板長が情熱を注ぎ、試行錯誤を重ねて生まれた、八戸ニューシティホテルの「虎鯖棒すし」。ホテルで食べられるほか、通販もやっていますので、ぜひ一度味わってみてください。

イベント詳細

イベント名Uターンして初めて気づいた「八戸の鯖の底力」

レポーター紹介

イチエ

青森県八戸市出身・在住。
大学進学を機に八戸を離れ、盛岡・山形・仙台・名古屋・岐阜に暮らし、2016年秋に地元八戸市へUターン。青森県内の移住交流事業、婚活事業等の企画運営、大学生の実践型インターンシップや社会人の兼業コーディネートに携わる。また、八戸サバ嬢(三八地域)、南部Guild(南部町、三戸町)、ふるさとの家保存会(五戸)などこの地域のまちづくりにも関わりながら、「好きな町で好きな人と楽しく暮らす」を実践中。
趣味は旅に出ること。これまで訪問した国は47か国。

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