レポート
2022.05.30

岩木山が見える海・出来島

県内の有名なビーチや海水浴場といえば、青森市の合浦公園海水浴場やサンセットビーチあさむし、八戸市の白浜海水浴場や蕪島海水浴場、鯵ヶ沢町の鯵ヶ沢海水浴場、などが思い浮かべられると思うのですが、今回私が訪れたのは津軽半島の日本海側にある、つがる市木造町の「出来島海岸」という場所です。つがる市に住んだ経験のある方なら一度は訪れたことがある場所なのではないでしょうか?この出来島海岸、夏場は海水浴場としてもにぎわいを見せるそうですが、今回はオフシーズンの5月に訪れてみました。

■五所川原市内から、田んぼ道を抜けて


五所川原市内から車を走らせ木造町の消防署やスーパーなどがある街中を抜けると、そこには一面の田んぼ道。田植えをする前の水を張った状態の田んぼが、お日様に照らされてキラキラしていて好きなんです。このまましばらく日本海側へ向かっていくと、たくさんの風車が見えてきます。

西津軽は風が強く、住宅街の中でも目を開けていられないぐらい強い風を感じることがあります。海の方へ向かって行くとさらに風も強くなるため、風力発電の風車が多数見られます。この日も海へ向かって車を走らせていると次々と風車が目に飛び込んできました。子どもたちにとって風車は珍しかったようで、「これなに!?でっかーい!こいのぼりみたい!(?)」とテンションが上がっていました。

風車の足元を見ると何やらカラフルなものが貼ってあり、よくよく見てみるとそれはたくさんの子どもの描いた絵でした。なんだかほっこりする景色です。

■心地良い潮風

風車がたくさんそびえたつ道のりをさらに走っていくと、このような看板が見えてきました。市内を出発して30~40分ほど。思っていたよりはるかに近い場所に海岸があったんですね。
駐車場に到着すると、駐車場ではあるものの、ここは砂浜なの?と思えるほどたくさんの砂。それもそのはず、出来島海岸は、鯵ヶ沢町から続く七里長浜の長い砂丘の海岸なのだそうです。近くに住んでいたはずなのに、知らないこともたくさんありました。
車から降りてみるとなんとも心地よい風。今まで訪れた海水浴場は、近づくほどに潮の香りも強くなり、その独特なにおいにやられることも多々あったのですが、出来島の海は磯臭さというものはほとんど感じず、かと言って海らしいにおいがしないわけでもなく、本当に心地よかったです。砂丘ということもありアスファルトの上にも砂はたくさんあるのですが、当日はそれほど風も強くなく、砂で目が…ということもありませんでした。

駐車場に入ってすぐ、小さな小屋のような建物がありました。こちらの建物はトイレとシャワー室になっていて、海開きの頃には整備して開放しているそうです。

■春の海の心地良さ

駐車場と砂浜をつなぐ階段は砂でほとんど埋もれていました。はじめは降りるのを怖がっていた子供たちでしたが、「キャー♡」と言いながら転がるように駆け下りていきました。
いざ砂浜へ降り立つと、なんとも言えない解放感!砂浜、青い海、青い空、白い雲。砂浜にはくっきりと見える足跡、流れ着いた流木、そして貝殻も。見渡す限り砂浜と海が続いていて、オフシーズンだったため人もおらず、貸し切り状態でした。足跡で絵を描いたり、貝殻や石を拾ってみたり、水に入って遊ぶだけではない楽しさを味わうことができました。

そういえば、海開き前の海水浴場に来るのは初めてだったなあ…と気づきました。海=泳いだり、水遊びをするところ、という思い込みがあったのだと思います。もっと言うと、夏に遠出をして、わざわざお出かけするところ、というイメージもやはりあったように思います。そうではなく、海はいつでもそこにあり、いつでも訪れていい場所だったんですよね。自宅周辺から30~40分ほどで来られるし、何も持たずにふらっと来ていい。出来島の海には、そんな身近さを感じました。

■人と人がつなぐビーチの物語

出来島の海は、10年ほど前はもっときれいなビーチだったと教えてくれた方がいました。地元のサーファーであり、出来島海岸のクリーンアップ活動をされているsayakaさん(https://www.instagram.com/sayaka.kankan/)です。この方とのお話の後に私は出来島海岸を訪れたのですが、砂浜にぽつりぽつりとゴミが落ちている場所もあれば、このようにある程度まとめられている場所もたくさんありました。

sayakaさんの活動を知った方々が少しでも自分にできることを、という想いから出来島海岸を訪れた際にこのようにひとまとめにしていってくれているそうです。こうした人から人への想いがつながり、近い将来このビーチもきっといつかの美しい砂浜を取り戻していくのだと思います。その物語の途中を見ている、というか物語を私も自分の手で少しずつでも進めていかなくちゃいけないと、この気持ち良い海を見ながら思いました。

小さいころに家族で遊びに来たことがあるという夫が話すには、「昔の思い出と少し印象が違う」とのことでした。やはり、ごみが当時よりも目立ってしまっていることが大きいのでしょうか。自分の思い出の中にある大事な景色をずっと変わらず見ていたい、また、自分の子どもやもっと下の世代にも見ていってほしい、そういう想いは少なからず誰にでもあると思います。そういう想いから、ゴミを拾うという直接的なアプローチではなくてもこの景色を守るためにできることは何か、いつもの日常をちょっと工夫することで見えてくるのではないかと思います。

■岩木山が見える海 出来島海岸

砂浜からぐるりと周りを見回すと、砂浜や海の素敵さはもちろんなのですが、なんといってもそこから見える岩木山がとっても素敵でした。無類の岩木山好き!我が地域から見える岩木山の形状こそが岩木山である!みたいな情熱は特になかったのですが、この景色を見てしまうともう、しばらく目が離せませんでした。何度も写真を撮ったり、ぼーっと眺めたりしていると子どもに「ママほんと山好きだね~」としみじみ言われてしまいました(笑)。あっ私、山好きだったんだ、と気付かされました。そういえば静岡県に在住時代、いつも新幹線の席は富士山が見える席を夫に譲ってもらっていました。海を見に来て山好きを自覚すると思っていなかったのでびっくりです。ですが、海と山が同時に見渡せるこの景色こそが特に印象深かったのだと思います。

今回は春の出来島の様子を見ることができましたが、地元に一番近い海だし、子どもたちもきっと大きくなったら友達と一緒に訪れるであろうこの場所を、いろんな季節で楽しみたいと思いました。つがる市役所商工観光課の方によると、今年の海開きは7月24日で、海水浴が楽しめる期間はだいたいお盆のあたりまでだそうです。春の風を感じながらの出来島も心地よかったですが、今度は海水浴客で賑わう出来島の違う顔も見てみたいです。

イベント詳細

イベント名岩木山が見える海・出来島
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