今年に入り「青森県の漁師たちのカード」が随分とネットで話題になっているのを、みなさんはご存知でしたか?
海で働く漁師さんたちの筋肉質な姿に、チビっ子たちの「かっこいいー!!」という声や、お母さま方の黄色い悲鳴も聞こえてくるとかこないとか?
話題沸騰中のこのカードを誕生させた仕掛け人は、なんと現役の公務員さん!
「あおもりの肴」と名付けられた「青森県産の水産物に関するPR活動」をしている「青森県農林水産部水産局水産振興課、木村紀昭さん」に、詳しいお話をお聞きしてみたいと思います!
Q.「あおもりの肴」のご活動の主旨と、これまで開催された企画の内容などを教えてください
木村さん:あおもりの肴は「青森県産の水産物の知名度向上と消費拡大のための活動」で、平成29年度から庁内ベンチャー制度により始まりました。
本事業は「魚と相性の良い地酒と組み合わせたPR」として「日本酒の会等での青森県産水産物を使った解体ショーの実施」と「Cookpad、Facebook等による情報発信」または「漁業者による食品スーパーでの直接販売」「あおもりの肴フェア」等の活動を、漁業者や漁協職員、酒造関係者等と一緒に取り組んでいます。
Q.これまで開催されたイベントについて教えてください
木村さん:まず「解体ショー」の目的は「魚と相性の良い地酒と組み合わせた青森県産水産物のPR」です。
日本酒の会などの場でマグロやサーモン、ミズダコ、アブラツノザメ等の解体を我々こと「県庁職員自ら」行っています。
昨年度は東京以外にも、名古屋、神戸、佐賀、海外ではバンコクで解体ショーを行いました。
「県職員が解体ショーをする」というのは非常に驚かれますし、県職員ならではの詳しい解説に興味津々で、強力なPRになっています。
また「全国的に見てもオンリーワンの取組み」であり「自信を持って全国へ発信できる取組み」だと思っています。
Q.「あおもりの肴フェア」はどのような内容でしたか?
木村さん:「あおもりの肴フェア」は、漁業者が獲った魚を自ら値段を付け販売する取り組みで、産地の朝市を食品スーパーに持ち込んだようなイメージです。
木村さん:旬の魚のほか、あまり市場流通していない珍しい魚介が人気で、「あおもりの肴フェア」からスーパーとの通常取引が始まった「エゾヒバリガイ」や、青森で一般的なミズダコよりも価格が低く価値のないものとして扱われている「マダコ」等、低・未利用魚の活用も図られています。
毎月1回以上、青森県内の食品スーパーで開催していて、これまで65回開催・累計約2千7百万円の売上げがあります。
このほか、クックパッド「あおもりの肴キッチン」による県産水産物の食べ方の提案や、Facebookによる県内の旬の魚介類の紹介や活動について情報発信しています。
Q.「青森の裸エプロン漁師トレーディングカード」がとても話題なのですが、こちらが誕生するまでにはどのような背景があったのでしょうか?
木村さん:全国各地で解体ショーをしている際、掲示物としてA2~A3サイズの上半身裸の漁師のポスターを貼っているのですが、ポスターを欲しがる女性客が多く「これを配付しやすい形にすれば強力なPRになるのでは?」と思ったのが昨年11月頃です。
ポスターで使用した写真をカードサイズに縮小し、ただ小さくして配付するだけでは面白くないので、ソーシャルゲーム風の枠をパワーポイントで作成し、12月頃から配布を開始しました。
Q.何かご苦労された点はありますか?
木村さん:まず「全て手作り」というところです。漁師カードは、デザインから撮影、裁断まで全て自前で行っているため、とても手間がかかり大変ですが、費用が安く抑えられ、また手作りだからこそ新規の漁師モデルをカードにする場合は迅速に対応可能で、モデル撮影当日に作成することも可能です。
Q.「青森の裸エプロン漁師トレーディングカード」はどうして「裸エプロン」なのでしょうか?
木村さん:「青森の美味しい魚を獲るためには、漁師の鍛え上げられた肉体も重要だ」と言うことを伝える意味合いと「単純に面白いと思ってもらい青森の魚に興味を持ってもらう」ことが狙いです。
「裸エプロン漁師」というのはSNS上で作られた発生した言葉で、私としては想定外でした。あくまで「水産合羽」という認識しかなかったため、エプロンと言われなければ気付けなかったです。
Q.このカードはどこで入手できますか?
木村さん:「あおもりの肴」関連イベントや県内外で青森県産水産物を提供する協力店、また「津軽びいどろ」と「あおもりの肴」コラボ盃取扱店でも配付しています。詳しくは青森県庁HPに掲載されています。
Q.カードの「レア度」について教えてください
木村さん:レア度については、よく「イケメン度」や「筋肉量」で決定していると勘違いされるのですが、個人の感性によるランク分けはしておらず「LR☆6は漁協組合長」「UR☆5は漁師」「SSR☆4は漁連・漁協職員」など「属性」で決めております。
Q.実際にカードを求めてやって来るのは、どのような性別、年代のお客様が多いでしょうか?
木村さん:漁師カードが全国的に話題となってからは、「あおもりの肴フェア」に家族連れや女性単独客が多く来場するようになりましたが、結局のところ全世代問わず漁師カードを集めているようです。
Q.企画されたみなさんは、この反響の大きさをどのように受け止められておりますか?
木村さん:全国的に青森県が取り上げられ、注目されているため嬉しく思っております。また、漁師や漁業関係者等から、継続して頑張って欲しい旨エールをもらう機会も多く、これからも継続して情報発信していきたいと考えています。
Q.「あおもりの肴」のご活動として、また「漁師カード」のこれからの活用方法として、「青森県の海」とどのように向きあい、ご活動をしていきたいですか?
木村さん:青森県の水産物は「ミネフジツボ」や「アブラツノザメ」、「アカザラガイ」のように、知名度のある水産物以外にも良いものがたくさんあります。青森県は漁獲される魚種も多く、地元ならではの料理も豊富で、個人的には日本一だと思っています。
漁師カードは青森県の水産業の魅力を伝えるためのツールの一つであり、これに頼り切らず、様々な視点や手法で情報発信し、青森県といえば魚介類、そして美味しいだけではなく「楽しい」というイメージを全国に広めていきたいと考えています。
「漁師カード」が話題になったことにより「青森県の海」に対する認知度も全国的に非常に高まったようで、わたしこと地元民のライターハリヤマも、とても嬉しい気持ちになりました。
この話題が様々なムーブメントを起こし、全国的に「海に対する関心」も深まっていってほしいですね!
イベント名 | 【インタビュー】話題沸騰中「青森の漁師カード」を生んだ「あおもりの肴」の活動内容とは!? |
故郷の青森市を拠点に写真家&ライター活動をしている。季節に関係なく全身で海を感じ、海産物に囲まれていると幸せを感じる。