青森県東津軽郡外ヶ浜町、三厩(みんまや)地区。
津軽半島の先端こと竜飛岬にも程近く、数々の伝説も残るこの地。
ここに、青森の海で捕れた鮑(あわび)の貝殻を使い、アクセサリーを作っている職人さんがいらっしゃいました。
今回ご紹介させていただきますのは、外ヶ浜町三厩地区にお住まいの「吉田 孝さん」
吉田さんは三厩地区の「義経海浜公園」のすぐ近くにお住まいです。
自宅敷地内で「工房かぶといわ」という、手作りのアクセサリーを制作する活動をされております。
目の前に海があり、窓からは潮の匂いが感じられる吉田さんの工房。
お邪魔させていただきますと、まず目についたのが、まるでオーロラのように輝くこのアクセサリー類でした。
外ヶ浜町が面する豊かな海で捕れた鮑の貝殻を使い、吉田さんが制作されたものなのだそうです。
まだ加工される前の、鮑の貝殻も見せていただきました。 とても大きい貝殻のものばかりで、驚いてしまいました。
「どうして鮑の貝殻を使ったアクセサリーを作っているのですか?」と吉田さんにお尋ねしたところ、
吉田さん:知り合いの漁師さんが廃棄する予定だった鮑の貝殻が、たまたま目に入りまして。これを加工してアクセサリーを作ったら、青森の海らしくて良いなと思ったのですよ。
実際に、アクセサリーを製作する現場も拝見させていただきました。
三厩地区出身の吉田さんは、若い頃に東京へ行き、アクセサリーの「型」を作るお仕事などをされていたそうです。
その後、故郷の外ヶ浜町三厩へと戻って来られた吉田さん。
「東京で培った技術を使い、何か青森らしいアクセサリーを作りたい」と思った、とのこと。
吉田さん:鮑をはじめ、貝殻は一つとして同じ模様はありませんからね。それぞれに個性があって、輝き方も違います。
ぜひ実際に手にとってみて、自分にピッタリのアクセサリーを見つけてもらえたらと思います。また、これをきっかけに、青森の海に関心を持ってもらえると嬉しいですね。
▲吉田さんが制作されたシルバーのアクセサリーの中には、青森県らしく「津軽塗り」が施された、りんごなどをモチーフにしたものもありました。
▲また、渓流釣りが趣味だということから、釣り針をモチーフにしたアクセサリーも制作されたそうです。
このように「工房かぶといわ」の店内では、鮑のアクセサリー以外にも、たくさんのアクセサリーが展示販売されておりました。
吉田さん:作る側としては、淡々と加工作業を進めてしまう、というのが本音です。
しかしこのアクセサリーを手に取られたお客さんが、何かしらのストーリーを感じ取ってもらえれば嬉しいですね。
長い時間をかけて、青森の海で育った鮑。 しかし「貝殻」としては廃棄されてしまうことが多いのも現状です。
それを加工し「海を感じられるアクセサリー」として、新たな役割を与えてあげるのが、職人・吉田 孝さんのお仕事なのでしょうね。
吉田さんの工房のすぐ目の前にあるのが「義経海浜公園」です。
その名の由来は、なんとあの「源義経」 鎌倉から遥かこの地まで逃げてきた義経は、津軽海峡を超えて蝦夷地へ向かったと言われております。
▲その際に「無事に渡れるように」と自分の甲を置いていったと伝えられるのが、この「甲岩(かぶといわ)」なのだそうです。
そしてもう一つ、三厩地区には「厩石(まやいし)」と呼ばれる名所もあります。
津軽海峡の波が激しく足止めを食らった義経がこの岩場によじ登り、波が穏やかになるよう祈りをささげたところ、羽根がある馬が3頭与えられ、穏やかになった海を無事渡ることができた。
竜馬がつながれていたこの岩が「厩石」と呼ばれ、それが現在の地名の「三厩(みんまや)」と呼ばれるようになったそうです。
1000年程前の伝説ではありますが、海とこの地を繋ぐロマンとして、現代も語れているのでしょうね。
今回ご紹介させていただきました吉田さんのアクセサリーを、実際に手に取って見られる機会がございました。
青森県内にお住まいの職人、クラフターさんたちの手造り作品を、その場で手に取って購入することもできますよ!
第三十四回「むんつけらの会」手造り文化展 即売会
日時:令和3年6月18日(月)〜20日(日)午前10時〜午後5時(最終日は午後4時終了)
会場:青森市民美術展示館2階(協同組合タッケン美術展示館)
青森県外ヶ浜町三厩地区 在住
「工房かぶといわ」にて、ペンダント、ブローチ、ループタイ、リング、鮑アクセサリー、シルバーアクセサリーなどを制作している
■工房かぶといわ
住所:青森県東津軽郡外ヶ浜町三厩中浜62
TEL:080-3675-7702
イベント名 | 陸奥湾の「あわび」を使ったオンリーワンのアクセサリー。工房かぶといわ吉田孝さん |
青森県を旅するライター。海を感じられる場所で気ままに暮らすのが夢。