レポート
2018.10.10

青森県が世界に誇る「津軽びいどろ」と「海」の深い関わりとは?

青森県が世界に誇る伝統工芸品「津軽びいどろ」は、熟練の職人さんたちが手間暇をかけて作る、とても精巧なガラス製品として人気です。

この工芸品が、実は「海」と深い関わりがあったということを、みなさんはご存知でしたか?

■始まりは「浮球(うきだま)」

「津軽びいどろ」を制作されている北洋硝子株式会社は、1949年に創業された青森市の会社です。創業当時ガラスで漁業用の「浮球(うきだま)」を作られておりました。その浮球は黒潮に乗って、遥かアメリカ西海岸にまで流れ着いたそうです。

ビーチコマー(海岸に流れ着いたものを収集し、どこから流れてきたかを研究解明する人たち)は浮球に刻印された【北】マークを逆さに読んで「ダブルF」と呼び珍重していたそうです。長年の浮玉製造で培った「宙吹き」の技法を用い、青森の自然をイメージさせるハンドメイドガラスの創作に取り組み、1977年「津軽びいどろ」が誕生しました。初期には津軽半島「七里長浜(しちりながはま)」の砂を使用していたそうです。

職人たちは技術開発にも力を注ぎ、美しい色ガラスの調合や、高い技術を要する技法もほぼ独学で習得するなど、常に新しい技へのたゆまない努力を続け、現在では青森県伝統工芸品の指定を受けるに至りました。

日本を代表するハンドメイドガラスとしてテーブルウェアだけでなくライフスタイル全般に豊かな彩りと季節感を演出しています。

 

■「津軽びいどろ」が生まれる場所

津軽びいどろを製造するのは「青森マイスター」や「青森県伝統工芸士」に認定された「匠」とも呼ばれるベテランの職人さんたち。365日、1日も休むことなく、作業は続けられます。

津軽びいどろの生産で主に使われるのが「宙吹き」という技法です。型や機械を使わずに、棹をまわしながらガラスを吹くもので、紀元前1世紀頃から受け継がれてきた伝統の技法です。この技法を修得するには長年の経験が不可欠です。

完成した器や花器には模様やカタチに微妙な変化はありますが、サイズには誤差がほとんどありません。手仕事とは思えない、驚くほど整った品質。その秘訣は「ガラスが動きたい方向へ導いてあげること」だそうです。

■青森県の四季を表現する「津軽びいどろ」

青森県は、四季がはっきりしていることが大きな特徴です。誰もが待ち焦がれる、とても遅い春。新緑が過ぎ、どこよりも熱い祭に人々が舞い上がる短い夏は、瞬く間に過ぎていきます。見事に色づいた紅葉に、勇み足でやってくる寒さの気配を感じさせる秋。五感すべてで、鮮やかな自然の豊かさを楽しみたくなります。長く厳しい冬。激しい地吹雪の間に垣間見る凛とした青空と、一面の白銀の世界に、つかの間の安らぎを覚えます。そんな、はっきりとした四季のうつろいを見事に表現し、家庭の中でも四季を感じられるのが「津軽びいどろ」の特徴です。

■海との深い関わり

青森県が世界に誇る伝統工芸品の津軽びいどろが、元々はガラスの浮球作りから始まったと知らなかった方も多いのではないでしょうか? それも青森県のみならず、海を旅してアメリカ西海岸までも流れ着いていたとは、予想外でした。海から始まったと言っても過言ではない「津軽びいどろ」を、皆さんも是非、手にとって見てください。職人さんたちの精巧な技が感じられ、感動すると思いますよ。

津軽びいどろ 公式ホームページはこちら

イベント詳細

イベント名青森県が世界に誇る「津軽びいどろ」と「海」の深い関わりとは?

レポーター紹介

海プロ青森特派員 ハリヤマ

海が大好き。魚介類も大好き。3つの海に囲まれた青森県内を旅し、写真撮影と取材に情熱をかける男。海のことを考えると夜も眠れない

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