ダイビングといえば南国の海をイメージしがちですが、日本海、津軽海峡、太平洋と3つの海に囲まれた青森でもダイビングスポットが多数あります。今回は青森の日本海側にあるスポットで未経験者の著者がダイビングに挑戦してみました。
こちら青森県の西海岸に位置する深浦の岡崎海岸です。海水浴はもちろんシュノーケリングや簡単なダイビングスポットとしても知られています。この混み具合はまさに穴場です(笑)
▲深浦町役場から車で約5分の場所にある岡崎海岸。トイレはシャワー室もある
今回案内していただいたのは三上清樹さん。ダイビングライセンスはもちろん、潜水士、1級小型船舶操縦士の資格を持ち、ダイビングのガイドも行なっています。
▲アウトドアが大好きな三上清樹さん。本業はプログラマー
実は三上さん、昨年8月にここでダイビング中にイルカと遭遇。しかもそのイルカはなんと伊豆諸島周辺や千葉の房総半島で目撃されており、2014年に紀伊半島で見つけられて以来、消息が不明となっていた御蔵島生まれのミナミハンドウイルカだったそうです。
▲三上さんが昨年、岡崎海岸で遭遇したイルカ。こんな間近に!(写真提供:三上さん)
約2000キロ近くを移動したことになります。イルカの生態はいまだ謎が多く、分かっていないこともたくさんあるんだとか。そして青森の海でもこんなイルカと出会えるかもしれない。そんな夢があるダイビングにこれから挑戦してみます。
ダイビングをする前に装備について軽くご紹介します。水中に潜るためにまずは欠かせない空気が入ったタンク。中には200気圧もの空気が入っていてダイビング30〜40分程度(水深に左右されます)の呼吸分が入っています。
▲重さは10キロ以上。酸素だけが入っているわけではありません!
次にタンクを背負うジャケットですが、主な役割として空気を使って浮力を調整することがあります。ジャケットには空気を溜め込む「空間」があり、その量を調整して浮き沈みすることができるのです。また、水中ではタンクがしっかりと体と固定していないとバランスよく泳げません。そのためにもジャケットが重要になっています。
▲ダイビング用のジャケット
▲タンクとしっかり取り付けて背負って水中に入ります
そして、タンクにある空気の残量や水深を知ることができる計器。こちらの数値は水中にいる時も理解して行くことがダイビングには必要となります。
▲上(左)からダイブコンピュータ(水深など)、空気残量、方位磁石
入る前に大事なことを一つ教えていただきました。人間が水中にいられる時間は水深によって異なり、深くなればなるほど短くなっていきます。また、限界以上に深い水中に居続けた後、正しい浮上法を行わないと息切れや胸の痛み、関節の障害といった減圧症(潜水病)と呼ばれる呼吸器系や循環器系の障害が発症します。
これは急激な圧力変化と血液に溶け込んでいる窒素の特性によるもの。細かい話は割愛するとして、人間は水中に長くいられないということです。潜水士を題材にした映画『グランブルー』が有名で、潜水病のことも描かれているのでオススメです。
ちなみにウェットスーツはかなりキツキツなので、着用の際の裏技としてビニール袋を使えば意外と簡単に着ることができました。
▲ビニール袋を巻いてウェットスーツを着用すると簡単!
それではさっそく海中へ潜ってみましょう!
▲初体験なので緊張の一瞬。まずは水温になれるため、浅瀬で潜ってみたりしました
まずは水温になれるのが基本。この日の波は穏やかで水温は22度。少し冷たいですが、ダイビングには良いコンディションでした。
▲まずは軽く潜水
落ち着いて空気を吸って吐いて。まずは水深2メートルもないような浅瀬で軽くダイビング。それでもまったくの別世界が広がっています。
▲小さい金魚のような魚がたくさん!(チャガラという魚です)
さらに少しずつ潜っていくと、たくさんの魚たちが群れをなして泳いでいました。海中楽しい!
▲ぐいぐいと進んでいくとまだまだ別世界が広がっていきます
耳抜きはできているのかできていないのかわかりませんが、水中はそれなりに泳ぐことできていたはずです(笑)。
15〜20分程度のダイビングでしたが、水中を潜ってこんなに長く泳いだのは初体験です。若干の不安はありましたが、海中を泳ぐ魚たちを見ていると水の中にいることに興奮を覚え、さらに先へ行きたいという好奇心が勝っていました。
▲もう少し潜っていくとコバルトブルーぽい色になっていました
赤茶色の藻は時期によるもので、季節を改めればもっと綺麗な海が広がっているとのことです。もう少しダイビングを続けたい。そんな気持ちになりました。
三上さんに聞いたところ、青森で最も有名なダイビングスポットが竜飛岬にあると言います。水流は早いようなのでちょっと初心者には厳しいかもしれませんが、他地域にはない変わった地形にダイビングの面白さがあり、時期によってはマグロやサケも見ることができるとか。いずれ挑戦してみたいですね。
▲竜飛岬のダイビングスポット。県内外からダイバーが集まる(三上さん提供)
最後に三上さんに聞いてみました。ズバリ、ダイビングの醍醐味とは?
「海の中は非日常で、日常とは違った世界を堪能できること。
自然と接することで、仕事などで溜まったストレスが解消できます」。
青森の海は南国のような色鮮やかな海中ではないかもしれませんが、東北ならではの魚や地形を見ることができるのがその魅力ではないでしょうか。
※三上清樹は2018年10月13日急逝されました。心より御冥福をお祈りします。
イベント名 | 岡崎海岸 ダイビング |
埼玉県出身のIターン。東京でウェブライターを経験し、2012年に青森へ移住。地域新聞や地域の情報を発信するお仕事をいただきながら、田舎でせっせと暮らしてます。実は孫ターン。