八戸には、朝2時に設営され、午前9時には跡形もなく消えてしまう朝市があります。
その朝市は「海のドン・キホーテ」といわれるほどカオスで、何が出るかわからない争奪戦ガチャです。スマホを眺めているだけでは絶対に手に入らない、剥き出しの感動がここにあります。
ありとあらゆるモノが混ざり合い、人々の欲望と熱気がムンムン、お目当てのモノを引き当てるか、それともスカ(ハズレ)を引くか。すべてはあなたの「運」次第。今回は、館鼻岸壁朝市とはどんな朝市なのかを、どこよりもわかりやすくご紹介します。
「えっ、まだ夜明け前なのに、こんなに人が・・・。」
初めて訪れた人は、目の前の光景に、思わず思考が「!?」となってしまうかも。ここは八戸が誇る「館鼻岸壁朝市(たてはながんぺきあさいち)」です。
場所は青森県八戸市にある八戸港の中の館鼻岸壁の広場で開催されます。開始時間は基本は午前3時から、終了時間は午前9時までの約6時間です。早い店は朝2時から準備しています。その後続々と多種多様な屋台が建ち並び、ひしめき合い、それにつられてお客さんも集まってきます。それは寝ぼけ眼を一瞬で覚醒させるほどの衝撃です。
「朝市っていうから、地元の人が野菜を売っている普通の朝市だと思ってた。」
そんな先入観を持ってここへ来ると、良い意味で裏切られます。全長800mの岸壁には、総勢約300〜360の屋台がびっしりと軒を連ねています。どこまで歩いても終わりが見えません。またどちらかというと、朝市というよりも、お祭りに近いです。ちなみに最大360店が出店できますが、現在80店のお店が空き待ちをしている状態です。
館鼻岸壁朝市は1回平均8万人のお客さんが訪れる「メガ朝市」です。8万人という数字は、京都府長岡京市80,146人と同じくらいの数で、1つの市の全住民に匹敵するお客さんが集まってきているということです。
そのため肩が触れ合うほどの活気が溢れ、信じられないほどの群衆が岸壁を埋め尽くします。これほどまでに生命力に満ち溢れた朝市は、日本中探してもここだけ。これは館鼻岸壁朝市の圧倒的な集客力がなせるワザです。
「はい、1個100円ね!」という店主の威勢の良い声に、お客さんの弾けるような笑顔。実は館鼻岸壁朝市の1回の売り上げは、平均約1億円と言われています。
店主との何気ない会話とともに手渡される「温もり」は、スーパーのレジでは決して味わえない、心の通い合いがあります。そんな小さな幸せのやり取りが300超の屋台で幾千、幾万と積み重なり、午前9時には気がつけば「1億円」という途方もない数字になるのです。
ここに一歩足を踏み入れれば、そこはもう出口のわからない巨大な迷宮です。館鼻岸壁朝市には、個性のまったく異なる「6つのストリート」が存在します。
「さっきの角を曲がればよかったかな?」なんて迷うのも、この朝市の醍醐味です。ストリートごとに、並んでいる商品がガラリと変わるから、1秒たりとも目が離せません。館鼻岸壁朝市の6つのストリートは次の通りです。
串わ・サバコロ青年隊、大東キムチ、から揚げ屋さんなど
焼きたてメロンパン、国産炭火焼長兵衛、インド料理アンクルなど
十和田焼小龍包、松橋青果、田中金物屋など
花のむらかみ、野田ケーキ店、小岩井牛乳
チヂミの獅子鼻さん、みんな野ファーム、ジャノメミシン、屋台ターメンポン田など
手作り豆腐の里、光コーヒー、竹細工など
館鼻岸壁朝市を貫く6つのストリートは、それぞれが独自の「熱狂」を放っています。グルメがひしめく通りもあれば、何に使うかわからない不思議な道具が並ぶ通りもある。まさに館鼻岸壁朝市は「海のドン・キホーテ」です。
「えっ、軽トラの荷台で焼き魚!」
館鼻岸壁朝市を歩いていると、突如として目の前に現れる軽トラ。こちらは「魚工房 かつら」です。その軽トラの荷台には、なんと「回転する囲炉裏」が載せられており、真っ赤に熾きた炭で、串に刺された大きな魚たちが黄金色に焼かれています。
「パチッ!パチッ!」と炭が爆ぜる音、滴る脂が煙となって鼻腔をくすぐる香りは、「美味しいものを食べたい」という本能を刺激します。どれもアツアツで、塩味ばっちりですよ。
「えっ、さっき売り始めたばかりなのに、もう売り切れ!?」
そんな悲痛な叫びが、この屋台では毎回起こります。こちらは大安食堂さんが販売する「しおてばハーフ」です。なんと、館鼻岸壁朝市のみで限定販売なので、「しおてばハーフ」目当てに毎回たくさんのお客さんが並びます。しかも1回800本限定販売。
また「しおてばハーフ」は1本40円で、1人のお客さんが大量買いします。そのためおよそ15〜20組程度で、売り切れます。館鼻岸壁朝市に来た時は、ぜひ早めに並んで「しおてばハーフ」を食べてみて。