レポート
2024.06.26

尻屋崎で下北最古の大地を感じよう

下北半島を訪れた際には、必ず観光してほしい「尻屋崎」。下北半島の東通村に存在し、放牧された寒立馬や日本一高い尻屋埼灯台など、他では見られないありのままの自然を感じられる場所です。観光地として有名ですが、下北半島に住むわたしもよく行っています。

今回はたくさんの人々から愛される尻屋崎を散策しながら、みえてきた下北半島の歴史を紹介していこうと思います。

■ 癒されるだけじゃない、寒立馬の魅力

尻屋崎はむつ市街地から車で40分ほどの場所にあります。時期によって入門ゲートの開閉時間が変わるため、事前にチェックしてから行きましょう。ちなみにいまの時期は、16時45分まで開いているようです。

入口のゲートをくぐると、すぐそばで寒立馬が出迎えてくれました。現在広範囲での放牧はされておらず、柵のなかでしか見られないそうです。想像以上に大きい寒立馬のからだに、ドキドキしながらも近づくと、穏やかな顔でそばに寄ってきてくれました。いつみても癒される光景です。

寒立馬の歴史は古く、平安時代からつづいています。東通村はかつて南部藩の領地で、鎌倉時代から馬の生産が盛んでした。青森の厳しい寒さに耐え、持久力が高い馬が放牧されていたそうです。

寒立馬の祖先は「南部馬」とよばれる馬で、源義経を乗せて戦に出ていたと記されています。長い歴史のなかで重宝されてきましたが、軍用馬として外来種馬と交配され、いまの寒立馬の姿になったそうです。

純血の南部馬は絶滅しており、南部馬の血を引く馬は寒立馬のみだそう。いまではのんびりとしていて穏やかな寒立馬ですが、祖先とはいえ戦で活躍していた過去があったとは驚きです。

現在は下北半島の馬産風土がつくりあげた歴史的文化遺産として、青森県の天然記念物に指定されています。温厚な性格で人慣れしている寒立馬ですが、会いに行く際はマナーをしっかり守りましょう。フラッシュをたいたり、勝手にえさを与えたりすると、寒立馬は困ってしまいます。わたしたちがマナーを守ることは、尻屋崎の魅力的な景観や寒立馬の暮らしを守ることにもつながるのです。

■ 最果ての地、尻屋崎

入口ゲートをくぐり車でまっすぐ進むと、海を背景にそびえたつ「尻屋埼灯台」が見えてきます。尻屋崎は「最果ての地」と表現されていますが、まさにといえる風情が漂っています。

この日はあいにくの天気でしたが、グレーがかった景色が一層「最果て感」を醸し出していました。

わたしは長年「尻屋崎灯台」と勘違いしていましたが、実際は「尻屋埼灯台」と書くのだそうです。意外と知らなかった方も多いのではないでしょうか。

尻屋崎沖は津軽海峡と太平洋に面しています。そのため潮の流れが変わりやすく、風も強い場所なのだそう。昔から、多くの船舶が危険にさらされ遭難する事故が頻発していたそうです。別名「海の墓場」とも呼ばれていたそうですよ。

とはいえ昆布やアワビなど磯資源が豊富な場所でもあり、人々の生活を豊かにしてきました。現在も太平洋の荒波によって波のなかに放たれた昆布を、海岸に打ちあがる前に拾い集める「拾いコンブ漁」が営まれています。粘りが強く、味がしっかりしているのが特徴です。

特に根昆布でつくる昆布水(昆布を水に浸けておくだけでできる水だしのこと)は、健康食品として大人気なのだとか。ぜひ食べてみてくださいね。

■ 尻屋埼灯台と歩んできた歴史

明治時代、日本では国際的な貿易を活発化させるにあたり、国内各地で洋式灯台の建設が拡大していました。海の安全を守るため、尻屋崎も灯台整備の対象となったのです。

尻屋崎で灯台を建てられることになった理由のひとつには、この地へ移り住んだ斗南藩の人々の熱心なアプローチがあったといわれています。海上交通の安全が確保されることで港が活性化し、地域全体に活気をもたらすと考えたのだそうです。

140年以上の歴史をもつ尻屋埼灯台は、レンガ造りの灯台のなかでは日本一の高さを誇ります。その他にも、東北地方で最初の洋式灯台、日本初の電気灯灯台、全国に16しかない参観灯台であることなど、数々の記念すべき記録をもっています。

一方で、その重要性ゆえに太平洋戦争では攻撃目標となり、主要設備を破壊されました。悲しい過去を背負いながら、現在も下北半島の海を守り続けています。

時間の関係で尻屋埼灯台には登れませんでしたが、せっかくなので周りを散策することにしました。尻屋崎の周りは道路以外に通路がなく、自然に生えたままの草原になっています。

灯台の案内人の方が教えてくれたのですが、この草原は自然の生きものたちが歩いた跡が道になっているそうです。足元を注意深く見て見ると、たしかに草が少ない部分があり、そこが道になっていました。

草むらをとおるとダニに刺される可能性があり危険とのことです。尻屋崎周辺を歩く際は、参考にしてくださいね。

■ 最果ての地で自然を感じる

尻屋崎は寒立馬が見られることで有名ですが、尻屋埼灯台や2つの海流が交わる海など、見どころがたくさんある場所です。下北半島に遊びに来た際は、ぜひ今回紹介したところを思い出しながら散策してみてください。きっとあたらしい下北半島の魅力に気づけるでしょう。

\ 記事をシェアしよう /
X LINE ニュースを共有

関連リンク

浅虫海洋生物学教育センター創立100周年記念事業
レポート
2024.06.30

浅虫海洋生物学教育センター創立100周年記念事業

むつ市民が秘密にしたい!とっておきの釣りスポットを紹介
レポート
2024.06.30

むつ市民が秘密にしたい!とっておきの釣りスポットを紹介

ページ内トップへ