ただ目的地へ向かうだけの旅は、もう終わりにしませんか?
実は移動時間を主役にした旅が日本海沿いの北東北にはあります。
青森と秋田を繋ぐ全長147.2キロ。
その道のりを、日本で最も贅沢な時間へと変えてくれるのが「リゾートしらかみ」です。
では、このリゾートしらかみは他の列車と一体何が違うのでしょうか。
今回は、移動時間こそを旅の主役にしてくれる五能線「リゾートしらかみ」について、どこよりも詳しくご紹介します。
「ただの観光列車だと思って乗ってみたら、人生観が変わってしまった!」
そんな声が後を絶たないのが、五能線「リゾートしらかみ」です。
リゾートしらかみは、秋田駅を起点として、弘前駅・青森駅を終点とする全車指定席の快速観光列車です。
コースはほぼ日本海沿い、全長147.2キロの距離を約5時間かけて走行します。
動力はディーゼルとディーゼルハイブリッドで、電気は使いません。
運行開始は1997年4月1日からで、2026年1月現在29年目です。
ちなみに五能線は、2026年2月には90周年を迎える長く愛されているローカル線になります。
「目的地までの5時間が、贅沢な時間に変ってしまった!」
リゾートしらかみに足を踏み入れた瞬間、「特別な仕掛け」が動き始めます。
むしろ、もっとこの時間が続いてほしいと願うほど、心地よさは、他では決して味わえません。
こちらでは旅人に選ばれるリゾートしらかみの3つの理由についてご紹介します。
「えっ、ちょっと待って!波に打たれる・・・!」
車窓に目を向けた瞬間、思わず座席の端をギュッと握りしめてしまう。そんなスリリングな体験が、リゾートしらかみでは日常茶飯事です。
普通の列車なら、海は遠くから眺めるもの。ところがリゾートしらかみは全然違います。
荒ぶる日本海の白波、ゴツゴツとした岩肌が手を伸ばせば届きそうなほど間近に迫ります。
波飛沫(なみしぶき)が窓を濡らすのではないかと思うほどの「近さ」は、もはや移動手段の域を超えた、極上のアトラクションです。
「列車を3つの個性で選べる?」とはなんぞや、と思いませんでしたか。実は、リゾートしらかみは金太郎飴的な無個性な観光列車ではありません。まったくタイプの異なる「3つの個性」が存在しています。
❶木漏れ日のグラデーション「橅(ブナ)」
「橅」は、世界自然遺産・白神山地の息吹をそのまま形にしたような、奇跡の車両です。エクステリアに描かれているのは、深い森に差し込む「優しい木漏れ日」です。ナチュラルなグリーンのグラデーションが、日本海の青と溶け合う姿は、まるで動く芸術品を眺めているかのよう。
❷神秘のブルーに染まる奇跡「青池(アオイケ)」
ホームに滑り込んできた「青池」編成を目にしたとき、あなたは自分の鼓動が早くなるのを感じるはずです。その車体にまとっているのは、世界自然遺産・白神山地の奥深くにひっそりと佇む、伝説の「青池」をイメージした神秘的なコバルトブルー。日本海の太陽を浴びてキラキラと輝き、見る角度によって表情を変えるその姿は、まさに「走る神秘」です。
❸夕陽を背負って駆ける「くまげら」
ホームで「くまげら」を待つあなたの目に飛び込んでくるのは、燃えるようなオレンジ色と鮮やかな黄色。愛称の「くまげら」とは、世界遺産・白神山地に生息する天然記念物「クマゲラ(日本最大の大型キツツキ)」に由来します。重低音を響かせながら荒磯を駆け抜けるその姿は、五能線が走る空を真っ赤に染め上げる「日本海の夕陽」そのものの色です。
「あぁ、もう、どっちから食べればいいの・・・!」
膝の上に広げた包み紙を開けた瞬間、あなたの理性は心地よく崩壊します。「リゾートしらかみ」の旅を完成させるのは、車窓の絶景だけではありません。
秋田の「鶏めし」が放つ甘い醤油の香り、青森の「海鮮弁当」にぎっしり詰まった海の宝石たち。この二大巨頭を同時に味わえるなんて、もはや事件です。
揺れる車内で、地元の地酒をトクトクと猪口に注ぎ、絶景を隠し味にして頬張る一口。それは、レストランのフルコースでも味わえない、旅人だけに許された「究極の贅沢」です。
どちらが美味しいかなんて決められない。そんな幸せな悩みに悶絶しながら、五能線の旅はもっと深く、もっと美味しく加速していきます。
「あぁ、この景色を見るために、今日ここまで来たんだ・・・。」
リゾートしらかみの車窓が巨大なスクリーンへと変わる瞬間、あなたの心は日常から解き放たれます。ただ線路の上を走っているだけなのに、まるで海の上を浮遊しているような錯覚。言葉を失ってしまうほどドラマチックな光景が、五能線には眠っています。
こちらではあなたの人生に新しい色彩を添えてくれる、絶対に外せない五能線の絶景スポット3選をご紹介します。
リゾートしらかみを降り、ブナの原生林を抜けた先に待っているのは、インクを流し込んだような、あまりにも不自然なほどに鮮やかなコバルトブルー。透明度は高いのに、底が見えないほど深い。まるで池の底から青い光が湧き出しているかのような神秘的な光景が目の前に広がります。
千畳敷駅で15分停車時間があるので、下車してプチ観光ができます。かつて津軽の殿様が千畳の畳を敷いて宴を開いたという、広大で平らな岩畳。一歩列車を降りれば、そこには遮るものなど何一つない、本物の「日本海」が牙を剥き、あるいは優しくあなたを迎え入れます。
列車が夕方、行合崎を走ると、日没に合わせて徐行する演出が行われます。リゾートしらかみが深浦エリアへ差し掛かり、パノラマウィンドウの向こうに行合崎が見えた瞬間、車内は静かな、けれど熱い興奮に包まれます。水平線に溶ける太陽を、世界一贅沢な特等席から眺め、旅のクライマックスの数分間は、あなたの人生を新しく塗り替える、何物にも代えがたい宝物になるはずです。