私が暮らす青森市は「世界一雪が積もる都市」と言われております。八甲田山の青森市側の積雪量も計測に入るのですが、積雪量は792mと、ずば抜けて世界一。人口30万人が暮らす都市なのに、市街地で平均2mも雪が積もるのは、世界でも青森市くらいなのだそうです。
そんな青森市ですが、じゃあ冬は家に閉じこもって春を待つだけなのか?といえばそうではありません。今回は青森市民がどのようにして雪と関わっているのか、また、雪と海の意外な関係について、をご紹介させていただきます。
青森市は北に陸奥湾、南は八甲田山、東には東岳、西には津軽半島、と海と山に囲まれた特殊な地形のため、非常に雪が積もりやすい都市です。
そして青森市民の冬の毎朝の日課といえば「雪かき」です。
断言します。
青森の雪かき=非常にしんどい です。
毎朝、カーテンを開けて窓の外を見ると、そこは一面にホワイトアウトな世界。水分たっぷりのズッシリとした雪が、木や道路へ降り積もり、なんて気分が萎えるのだろう。防寒着を着て、仕方ない、雪かきに出かけよう(じゃないと出勤できない)あぁ、重すぎる雪が信じられないくらいに積もって、雪国に生きる厳しさを感じられる瞬間。というのが、青森市民の多くが感じている気持ちなのです。
多い日で、一晩に30cm以上の湿った重い雪が、家の周りにびっしりと降り積もります。
これを毎朝、除雪機やスノーダンプなどを使って除雪します。このような作業を2〜3時間。
やっとの事で歩けるほどの道が出来上がります。しかし大雪の日にはお昼くらいにまた20cmほどの雪が積もり、朝の雪かきが水の泡になることもしばしば。
そんな日は空に向かって「もう降るな!!」と叫びたくなります。
そんな風に、嫌になるほど雪に振り回されている青森市民ですが、休日になるとスキー場へ遊びに行ったり、冬のイベントにも積極的に参加したりします。
青森市の幸畑地区では2018年2月に「幸畑ヒルズスノーフェスティバル」が行われ、そのイベント内で「リアル雪中行軍」というものが開催されました。
八甲田山麓の青森市田茂木野地区から、青森大学のある幸畑団地地区までの約5kmを、スノーシュー&スキーを履いて歩く、まさに雪中行軍のイベントです。
雪が積もったからこそ見える景色があり、参加した者にしかわからない達成感があります。このように青森市民はスノーアクティビティを積極的に行い、厳しい冬の生活の中にも楽しさを見つけているのです。
そして青森の冬といえば、やはり「白鳥」をはじめとする渡り鳥が多数やってくることでも有名です。
青森市の合浦公園や野内川、お隣の平内町にある「浅所海岸」などで、毎年数千羽の白鳥が見られますので、冬でも海に行く機会は意外と多いのです。
白鳥や渡り鳥たちが安心して越冬できる素晴らしい環境が、この陸奥湾には存在しているようです。青森の海が自然豊かなのもまた、大きく関係しているようです。
このように、世界一の豪雪地帯とも言える青森市。意外に雪に困っているばかりではなく、雪があるからこそ可能な楽しみも見つけて長く厳しい冬もそれなりに楽しんでいることが、みなさんに伝わりましたでしょうか?
毎年、信じられないほどの雪が積もる八甲田山ですが、この雪は春になって溶けて、地中に染み渡っていきます。その雪が溶けた水八甲田山の地中でろ過され、やがて陸奥湾へと流れ出ます。これにより陸奥湾の海水は非常にミネラルが豊富となり、魚介類にとって素晴らしい環境となるのです。陸奥湾産のホタテが甘くて美味しいのも、そういう環境が関係しているとのこと。まさに相乗効果ですね。
もし、冬の陸奥湾を見る機会がありましたら「この海は、雪が降るからこその素晴らしい環境なのだ」ということを、少し思い出してみてください。海を見る目が、少し違ってくるかもしれませんよ?
イベント名 | 【豪雪地帯ですけど何か?】「世界一雪が積もる都市」に面した陸奥湾は、雪が降るから素晴らしい海なのです! |
海が大好き。魚介類も大好き。3つの海に囲まれた青森県内を旅し、写真撮影と取材に情熱をかける男。海のことを考えると夜も眠れない